アナログ

デジタル化が進む昨今、電子書籍を利用する方が増えています。

私についていえば、まだ電子書籍を利用したことがないものの、気になっています。

一度、電子書籍を利用しようと思う今日この頃です。

内容証明郵便

法律相談においてしばしば質問を受けるものとして、内容証明郵便があります。


法律家以外の一般の方でも内容証明郵便を利用する例も散見されます。


しかし、なかには、内容証明郵便の機能を正確に理解していないと思われる利用方法もあります。


そこで、今回は内容証明郵便について簡単にご説明いたします。


内容証明郵便とは、1頁に「20字以内×26行以内」で書簡を3部作成し、1部を相手方に送付し、1部を郵便局に保管し、1部を差出人が保管する郵便です。


なお、現在では、電子メールによる作成・送付も可能となっています。


内容証明郵便は、郵便局において当該郵便物の内容である文書の内容を証明する(郵便法48条1項)というものであるため、この名称が付されています。


内容証明郵便を送付する場合には、郵便局において相手方に当該郵便物が配達されたことを証明する配達証明によるのが通常です。


これは、配達証明付き内容証明郵便で文書を送付しておけば、当該文書の内容とそれが相手方に配達された日時とを証明することができます。


そのため、特に、一定の内容の意思表示(相殺・契約解除等)をし、それが相手方に到達したことの証明を残しておきたい場合には、当該意思表示を文書によってし、配達証明付き内容証明郵便で送付しておけば、その証明がおおむね可能となります。


内容証明郵便については、金銭支払の催促など、「特別な郵便」というイメージを踏まえて、相手方に心理的圧迫を加えるという利用方法を用いられることもあります。


ただし、これはあくまでも事実上の効果を意図したもので、またその有効性についてはケースバイケースで、奏功しないケースもあるところです。


私が弁護士になって間もないころにおこなった業務が内容証明郵便の作成でした。


内容証明郵便を発送するため、郵便を大切に鞄にしまい、名古屋駅近くの郵便局まで恐る恐る持って行ったことを今でも思い出すことがあります。

複数の賠償義務者に対する債務の免除の効力

 今日は少し難しい話になるかもしれません。
 

 複数の賠償義務者のうち1人と示談する場合に発生しうる論点についてご説明します。

 

 名古屋・岡崎・豊田など愛知県全域・岐阜・三重県内では、仕事中の運転者による交通事故が少なくないため、このような場合にも理屈上問題となります。

1 複数の賠償義務者の関係

1つの交通事故において、1人の被害者に対して、賠償義務を負う賠償義務者が複数存在する場合があります。


例えば、所有者でない者が運転していた車両によって交通事故が発生した場合、車両の運転者と所有者が被害者に対する賠償義務を負います。

このような事案において、被害者が、複数の賠償義務者のうち1人との間で権利放棄を含む示談をした後、他の賠償義務者に対して追加の損害賠償請求をすることができるのでしょうか。


これは、共同不法行為者の1人に対する債務の一部免除が他の共同不法行為者に対していかなる効力を及ぼすかという問題ととらえることができます。


2 不真正連帯債務について


複数の賠償義務者が存在する場合、賠償義務者は、被害者に対して「不真正連帯債務」を負うと解されています。

「不真正連帯債務」とは、連帯債務と同じく、数人の債務者が同一内容の給付につき各自独立して全部の給付をなすべき債務を負担し、しかもそのうちの1人(又は数人)が一個の全部の給付をすれば総債務者の債務が消滅する多数当事者の債務であって、民法の連帯債務に属しないものであり、不真正連帯債務については、債権を満足させる事由(弁済・代物弁済・相殺・供託)は絶対的効力を生じるが、それ以外の事由は相対的効力を生じるにとどまるというのが、従来の通説判例です。

3 複数の賠償義務者のうち1人に対する権利放棄(債務免除)の効力


共同不法行為者の1人に対する債務の一部免除が他の共同不法行為者に対して効力を及ぼすかについては、①絶対的効力説(連帯債務者の1人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる旨の旧民法437条が適用され、免除をした相手方の負担部分については、他の債務者に対しても請求できないとする見解)、②相対的効力説(免除の効力は他の債務者に一切及ばないとする見解)、③折衷説があります。


4 裁判例の傾向


最高裁判所の裁判例には、不真正連帯債務には連帯債務の絶対的効力に関する旧民法437条は適用されないとして、絶対的効力説を否定する裁判例もあります(最判昭和48年2月16日民集27巻1号99頁、最判平成6年11月24日裁判集民173号431頁)。


ただし、これらの裁判例は、被害者が他の共同不法者の債務をも免除する意思があったと認められる場合にまで、免除に絶対的効力を認める可能性をも否定する趣旨ではないようにも思われます。


実際、その後の最高裁の裁判例には、共同不法行為者の1人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務免除の効力について、他の共同不法行為者の残債務をも免除する意思を有していると認められるときには、他の共同不法行為者に対しても、残債務の免除の効力が及ぶことが認めています。


5 まとめ


このように、被害者が、複数の賠償義務者のうち1人との間で権利放棄を含む示談をした後、他の賠償義務者に対して追加の損害賠償請求をすることができるのかについては、被害者の意思によることとなります。


したがって、被害者が複数の賠償義務者のうち1人との間で権利放棄を含む示談をする場合には、他の賠償義務者への請求に関する疑義を解消するため、他の賠償義務者に対する請求をする意思があるかどうか、あるいは、他の賠償義務者に対する請求をも放棄する意思であるか、いずれの意思を有するかを明示する必要があります。

法律の改正・運用の変更

近年、時代の変化が早くなっているように感じます。

時代の変化に対応するように、法律の改正も増えています。



例えば、民法などいわゆる基本法の改正も頻繁に行われるようになっています。

特に、民法については、明治時代に制定されて以来、大きな改正はされていませんでしたが、近年、広範囲の分野で頻繁に改正がされています。

これも、時代の変化に対応できるように改正する必要性があるためです。

また、改正前の現行法でも対応できる範囲で、法律実務も新しい試みが始まっています。

例えば、裁判についていえば、裁判所に出頭して期日を行うのが原則だったところが、現在ではオンラインによる期日が原則かのような運用をしている裁判官もいます。

裁判の審理のあり方それ自体についても、これまで以上にスピーディーな審理を実現しようとする試みが始まっています。

例えば、当事者の主張立証が争点のポイントに絞って進んでいくために、裁判所が作成した訴状や準備書面の書式を利用して審理を行うという試みが一部で開始されています。


これは、弁護士によっては饒舌なきらいのあった準備書面を制限し、裁判所が求めるコンパクトな訴状ないし準備書面の提出がされるようにする試みです。

このような審理のあり方は、争点のポイントに絞って審理をするという点で、これまで以上にスピーディーな審理が可能となります。

民事訴訟制度は、長年、裁判の審理の長期化という課題を解決するために審理の迅速化に取り組んできていますが、
今回の運用もその流れに沿ったものです。

愛知県・岐阜県・三重県内の裁判所も徐々に運用が変わりつつあるように感じています。

特に、名古屋地方裁判所本庁の運用はどんどん変わりつつあるように感じていますので、目が離せません。

事案の本質を把握する

近年、弁護士の業務は広がりを見せており、業務内容も多岐にわたります。

 

業務内容が違うと対応方法や分析の視点が180度変わることも珍しくありません。

 

しかし、他方で、どのような業務であろうと、常に必ず求められることも存在します。

 

それは、結論を左右するポイント、言い換えれば、当該事案の本質を把握するということです。

 

例えば、顧問先から法的意見を求められた場合、その事案の本質を把握しないと、回答自体が誤ってしまう可能性があります。

 

また、仮に、結論自体が誤っていないとしても、事案の本質を踏まえた結論過程になっていない以上、顧問先にその結論の正当性を理解してもらうことができません。

 

事案の本質を把握することの重要性を理解していない法律実務家はいないと思います。

 

私も、学生時代から現在まで、恩師・先輩方から、何度も事案の本質を把握する力を養うことの重要性を学んできました。

 

しかし、この「事案の本質」は、事案によって大きく変わってきますので、簡単に把握できるものではありません。

 

例えば、「事案の本質」が法律解釈の問題である事案もあれば、「事案の本質」が関係者の性格である事案もあります。

 

この事案の本質を把握する力として求められるのは、法的知識や経験はもちろんですが、最近は回答を求められる弁護士の「ものの見方」も求められているのではないかと考えるようになっています。

 

そして、この「ものの見方」というのは、人間に対する理解、様々な人生観に対する理解や共感だと考えています。

 

結局のところ、法的トラブルは人と人との間で生じるトラブル(企業間トラブルも突き詰めると人と人とのトラブルに含めることが可能だと思います)ですので、人間に対する理解、様々な人生観に対する理解や共感が備わっていないと、事案の本質を把握することはできないように思うからです。

 

弁護士として求められる素養は奥が深く、法律分野の研鑽だけでは不十分だと感じています。

人事異動の時期

4月に入りました。

 

企業や公官庁では4月に人事異動が行われることも少なくありません。

 

私が担当する事案でも、保険会社の担当者が人事異動で担当変更のご挨拶をいただくことが増えています。

 

また、裁判になっている事案では、審理を担当している裁判官が人事異動によって交替する事案が複数あります。

 

愛知県内で係属している裁判に限って言えば、名古屋地方裁判所本庁・名古屋地方裁判所岡崎支部で審理中の裁判は、裁判官の交替がありました。

 

裁判官の交替は、弁護士としても関心を持つ出来事になります。

 

裁判を審理する裁判官は自らの心証(当事者の主張についての考え)を後任の裁判官に強制することはできません。

 

また、ほとんどの場合、裁判官の心証を後任の裁判官に引継ぐこともないようです。

 

そのため、前任の裁判官がこちらの主張を認める心証を抱いていても、後任の裁判官が全く別の心証を抱くことがあります。

 

すなわち、裁判官の交替によって、裁判の判断や審理の仕方に大きな変更が生じる可能性があるのです。

 

これは、事案について個々の裁判官が自らの良心に基づいて自由に心証をとることができるという憲法上の定めに基づくものです。

 

もっとも、実際には、前任の裁判官が交替する前に自らの心証を積極的に開示するという事案は必ずしも多くありません。

 

そのため、裁判官の交替によって、こちらに有利ないし不利になるかというのは、ほとんどの事案では当事者にはわかりません。

 

この時期になると、裁判官が交替するか、また、交替する場合の後任の裁判官の様子について気になる弁護士は少なくないと思います。

 

 

交通事故の損害賠償請求の仮払仮処分

交通事故の事件を多く扱っていると、一般の弁護士が行わない手続きを扱うことがあります。

 

例えば、交通事故の損害賠償請求の仮払仮処分手続などがその代表例です。

 

仮払仮処分とは、民事保全手続の1つで、交通事故の被害者が、稼働能力を喪失して生活に困窮したり、多額の療養費を要する場合に、加害者や自賠責法3条の運行供用者に対して金員を被害者に支払うように求める処分で、裁判所に申立てをする仮処分手続きです。

 

仮払仮処分は、被害者が申し立てた事情及び加害者側の審尋を踏まえて、裁判所が命令の可否を判断します。

 

交通事故の損害賠償請求の仮払仮処分手続の特徴は、主に以下のとおりです。

 

1点目は、被害者に求められている損害賠償請求権の疎明の程度が高度であるという点です。

 

仮払仮処分は、民事保全手続で求められることが多い、いわゆる担保金の積み立てが求められないことが通例です。

 

そのため、その均衡から、被保全債権である損害賠償請求権の疎明の程度が高く要求されています。

 

2点目は、損害賠償請求権を有するのみでは足らず、仮払仮処分が行われないと生活に困窮を来すといえる状況を疎明する必要がある点です。

 

すなわち、生活の困窮の程度が著しく、自賠責保険への被害者請求(16条請求)等の保険金の受給のみでは当座の生活や療養費用がまかなえないといった事情を疎明することが求められます。

 

このいわゆる保全の必要性については、被害者の配偶者や親族の資産が十分である場合には被害者に不利な事情として斟酌されうる見解が示されているなど、厳格に判断されています。

 

以上の特徴から、交通事故の損害賠償金の仮払仮処分手続は、あまり利用されることのない手続きともいえます。

 

私自身、仮払仮処分手続が認められるケースはかなり限られたケースであるように感じており、利用した件数もわずかです。

 

 

頭の切り替え

 

弁護士として仕事をする上で、大事なことは、法律分野以外のことにも興味を持つことではないかと思います。

 

もちろん、弁護士として法律分野に精通している必要があることは言うまでもありません。

 

弁護士として仕事をするためには、毎日、たくさんの案件を対応し、経験を積む必要があります。

 

また、特に自分が扱う分野については、休日も調査研究をすることも珍しくありません。

 

しかし、弁護士の仕事は法律以外の分野にも関係してきますので、法律分野のみ詳しくなっても物足りないと感じています。

 

そのため、法律分野以外の分野にも興味をもつことは重要だと思います。

 

また、法律分野以外のことに熱中した後は、法律実務に取り組むときにも、頭の切り替えができて、良い効果を感じます。

 

私自身、野球をしたり、ラグビーを観戦したりすることが好きですが、これらのことに熱中した後は、法律実務の仕事も捗る気がします。

 

また、法律分野以外の科学分野、歴史分野の本を読んだり話を聞くと、法律分野にはない発想に気付くことができ、とても面白いです。

 

最近は、コロナウイルスのこともあり、外出したりすることもできない状態ですので、休日の活動も制限されています。

 

私がいる名古屋地域も緊急事態宣言が続いています。

 

早くこの状況が改善するとよいと思います。

文献調査

 

私は、愛知県(名古屋・岡崎・豊橋など)・岐阜県・三重県・北陸地方・関西地方の交通事故や労災事故を多く扱っています。

 

交通事故や労災事故は、法律実務において、数多くの論点があります。

 

論点の全てが有名な論点とは限らないので、細かな文献調査や判例調査が必要になることも珍しくありません。

 

調査をする場合、始めに論点を扱った裁判例を調査して、裁判例の傾向を把握します。

 

特に、裁判例はその事案に対する判断ですので、裁判例の事案の概要は丁寧に確認します。

 

その後、裁判例の背景にある考え方を確認するために、判例を評釈する文献を調べます。

 

裁判例は、論点について判断を示すにあたって、それ以前の過去の裁判例や当時の学説を踏まえて判断している場合が多いです。

 

そのため、裁判例の調査で終わらず、裁判例の背景を探る文献調査まで行わないと、その裁判例の妥当性を確認できません。

 

文献にも、裁判官の論文を扱ったものから一弁護士が著した文献など様々ですから、実務における参照具合も考慮して調査します。

 

また、文献調査にあたっては、できる限り最新の学説を網羅した専門書を確認するようにしています。

 

古い文献を確認する場合、最新の学説や判例を網羅しておらず、現在の傾向や考え方がわからないからです。

 

ただ、興味深いのは、法理など議論の大元(おおもと)を調べる場合には、最新の文献だけでは不十分で、古い文献にあたってこそわかることも少なくないという点です。

 

これは私の推論ですが、最新の文献は最新の傾向を扱うことに重点があるため、紙面の都合上、議論の大元に丁寧に言及することができないからではないかと思います。

 

言い換えれば、昔の文献は、当時の議論が煮詰まっておらず、議論の大元を素直に抉り出しているためではないかと思うのです。

 

調査においては、最新の文献だけではなく、昔の文献をも調査するなど複眼的な調査が必要だと思うこの頃です。

事件処理の方針策定の重要性

弁護士になりたての頃、多くの弁護士から様々なことを教えていただきました。

 

そのうちの1つに、受任時に事件処理の方針を策定することの重要性があります。

 

一口に「事件処理の方針」といっても、検討するべき事項は事案によって様々です。

 

適切な事件処理の方針の策定のためには、その事件のポイントになることを把握しなければなりません。

 

また、一旦事件処理の方針を策定しても、状況が変更した場合には、その都度、事件処理の方針を再度検討しなければなりません。

 

私は、弁護士になりたての頃から、事件処理の方針の策定を行ってきたつもりですが、今思えば、検討が不十分だったケースもありました。

 

現在、依頼者様のご意向に沿った解決のためには、あらかじめ適切な事件処理の方針の策定ができているかどうかで決まるのではないかとさえ考えるほど、事件処理の方針の策定には時間を掛けています。

 

どんな事件でも、受任時と示談交渉の前など、最低でも2回は時間を掛けて事件処理の方針を再検討しています。

 

また、事件処理の方針の再検討が必要となる場合には、その再検討の時期を逃さないことが重要です。

 

事件を多く抱えて忙しい時などには、事件処理の方針の再検討が必要になっている状況を見過ごしてしまう危険性もありますので、注意が必要です。

 

そのため、私は、1週間に1回はすべての案件の進捗状況を確認し、事件処理の方針の再検討の必要性がないか確認しています。

 

複数の後遺障害がある場合

 

今日は、複数の後遺障害がある場合の運用についてご説明します。

 

後遺障害の「併合」とは,複数の後遺障害が認められた場合の等級の取り扱いになります。

 

自賠法施行令第2条第1項第3号には,自賠法施行令別表第二に定める後遺障害が2つ以上ある場合の取り扱いについて,以下のとおり規定しています。

 

⑴ 別表第二第5級以上の等級に該当する後遺障害が二つ以上ある場合には,重い方の等級を3級繰り上げる。

 

⑵ 別表第二第8級以上の等級に該当する後遺障害が2つ以上ある場合には,重い方の等級を2級繰り上げる。

 

⑶ 別表第二第13級以上の等級に該当する後遺障害が2つ以上ある場合には,重い方の等級を1級繰り上げる

 

⑷ ⑴~⑶以外の場合には,一番重い後遺障害の該当する等級を,2つ以上ある後遺障害の等級とする。

 

併合基準に照らすと,後遺障害の等級が第4級と第5級が認められた場合には,第4級を3級繰り上げて,併合により第1級となります。

 

後遺障害の等級が第7級と第8級が認められた場合には,第7級を2級繰り上げて,併合により第5級となります。

 

後遺障害の等級が第10級と第12級が認められた場合には,第10級を1級繰り上げて,第9級となります。

 

後遺障害の等級が第8級と第13級が認められた場合には,第8級を1級繰り上げて,第7級となります。

 

以上と異なり,第11級と第14級が認められた場合には,第11級のままであり,等級の繰り上げはありません。

 

すなわち,第14級の認定は,他の等級に影響しないので注意が必要です。

 

後遺障害の等級が認定された場合,認定された後遺障害等級に基づいて後遺障害に関する損害を算出することになります。

 

この認定された等級の内容は,後遺障害の逸失利益や慰謝料などに大きく影響していきます。

 

同じ等級でも,認定された後遺障害の内容によって,賠償額が増減される可能性も少なくありません。

 

私は、名古屋を含む愛知県・岐阜県・三重県などの交通事故を扱うことが多いのですが、複数の後遺障害がある被害者の方も少なくありませんので、常にこのようなルールを意識して対応しています。

交通事故で必要となる診断書あれこれ

私が住む名古屋市も寒さが増してきました。

 

寒さが出てくると、風邪に気を付ける必要があります。

 

風邪といえば、お医者様です。

 

交通事故の被害では、お医者に診断書を依頼するなど、お医者様にお願いすることも数多くあります。

 

そこで、今回は、思いつくまま、医師に依頼することが多い診断書をあげていきます。

 

1 交通事故で怪我をした場合には医師の協力が不可欠

 

交通事故で怪我をしたために治療費や慰謝料等の損害が発生した場合,事故の相手方に対して損害賠償請求をすることになります。

 

損害賠償請求をする場合,怪我をした事実や怪我によって損害が発生した事実を示す証拠が必要になります。

 

怪我の症状や治療内容については医学的な事項になりますので,証拠となる書面については,医師に協力してもらうことになります。

 

2 警察に人身事故届けを出すための診断書

 

交通事故で怪我をした場合,警察に対して事故によって怪我をしたことを届けることになります。これをいわゆる人身事故の届出といいます。

 

人身事故の届出をする場合には,病院の医師が作成した診断書を提出する必要がありますので,治療を受けられた病院の医師に診断書を作成してもらう必要があります。

 

3 後遺障害診断書

 

治療を受けても怪我の症状がよくならない状態に至った場合あるいは治療の効果が一時的で症状が一進一退になっている場合には,後遺障害の申請手続きをすることになります。

 

後遺障害の認定は,主に,自動車事故の場合には自賠責保険の審査機関や裁判官が行いますので,病院の主治医ではありません。

 

もっとも,その認定にあたっては,病院の主治医が作成した後遺障害診断書などの医療記録が重要な判断材料になってきます。

 

そのため,後遺障害の手続きをする場合には。主治医に対して後遺障害診断書の作成依頼をすることになります。

 

4 症状に関する意見書

 

相手方との交渉や裁判などの法的手続きにおいて,症状固定時期や後遺障害の内容や程度が争点になってくる場合も珍しくありません。

 

その場合には,怪我の内容や症状,治療状況について,主治医や専門の医師から医学的な意見を述べてもらう意見書を作成していただき,証拠書類として提出することがあります。

 

このように、診断書といっても様々であり、必要となる診断書の種類も豊富です。

 

今回ご説明したもの以外にも診断書の種類はあります。

 

 

自賠責保険の調査

加害者が被害者の人身損害を賠償するための自動車損害保険は,自賠責保険(強制保険)と任意保険の2段階の立て付けになっています。

 

交通事故の被害にあったときに,加害者が自動車損害保険に加入しているかどうかが不明なときがあります。

 

加害者の任意保険会社の加入については,加害者に直接確認する方法が現実的です。

 

他方で,加害者が自賠責保険に加入しているかどうかについては,加害者に直接確認する方法以外にも確認する方法があります。

 

具体的には,交通事故証明書を取り寄せて,自賠責保険の加入歴を確認する方法です。

 

交通事故証明書は,自動車安全運転センターの都道府県方面事務所長が、警察から提供された証明資料に基づき、交通事故の事実を確認したことを証明するために作成する書面です。

 

交通事故証明書には,事故車両の自賠責保険の加入の有無が記載されています。

 

そのため,交通事故証明書の記載を手掛かりに,自賠責保険の加入の有無を確認することが可能です。

 

近年,自動車運転者の中には,任意保険のみならず自賠責保険未加入のまま,車を運転している方も増えてきているようです。

 

そのため,今後,被害者が,加害者の自賠責保険の加入の有無を確認する必要に迫られることも増えてくるかもしれません。

 

加害者が任意保険未加入あるいは自賠責保険すら未加入の場合に,被害者の損害をどのように補てんするかというのは,弁護士に相談するべき事項といえます。特に重傷を負っている場合には,どこから,どのように補償をうけるかというのは重要です。

 

愛知県は交通事故発生件数が多いですので,特に,ホットな話題だと思います。

 

 

代理人としての立場の違いと訴訟活動

私は,交通事故や労災事故をよく扱っています。

 

示談交渉の事件だけではなく,訴訟事件の対応も行っています。

 

例えば,愛知県内だけをみても,名古屋,岡崎,半田など様々な地域の裁判所に係属する事件の対応をしています。

 

損害賠償請求をする側の代理人(被害者側の代理人)を務めている事件もありますし,他方で,他人から損害賠償請求をされた側の代理人(加害者側の代理人)を務めている事件もあります。

 

同種の事故や後遺障害について,被害者側の代理人として対応したこともあれば,加害者側の代理人として対応したこともあります。

 

当然のことではありますが,被害者側であるかあるいは加害者側であるかによって,行うべき訴訟対応の内容は全く異なります。

 

被害者側の代理人として,訴訟対応をする場合,損害賠償請求の主張内容やその根拠となる証拠を積み重ね,裁判官に認めてもらうことが目標となります。

 

他方で,加害者側の代理人の場合,被害者側からの損害賠償請求の主張内容や証拠に対して反論を加え,裁判官に被害者側の損害賠償請求を認めさせないあるいは減額させることが目標となります。

 

私のように,交通事故や労災事故について,両方の立場から様々な事故を扱う弁護士は,決して多数派ではないと思います。

 

両方の立場で対応をする場合,時には,同時期に,同種の重い後遺障害の事故を,両方の立場から対応することもあり,心理的な負担も否めません。

 

しかし,両方の立場を経験すると,被害者側の立場で代理人をする場合でも,相手方の戦略や意図を把握して対応できるので,相手方の対応を予想して,訴訟活動を行うことができます。

 

もちろん,片方の立場のみしか経験していない弁護士でも,相手方の対応を予想して,秀でた訴訟活動を行っている弁護士も少なくありません。

 

しかし,両方の立場で実際に対応しているかどうかは,経験の差として,間違いなく,訴訟活動の充実に影響してくるものではないかと思います。

 

弁護士を選ぶ場合,そういった観点から,弁護士を選ぶのも1つかもしれません。

裁判記録の調査

弁護士の業務において,裁判例の調査検討は,切っても切れない関係にあります。

 

事件についての問題点を調査し,対応方法を検討する方法の1つとして,関連する裁判例の分析は有用です。

 

裁判例の調査というと,判例雑誌や判例検索サイトを用いて,判決書を分析し,検討するという方法が一般的です。

 

他方で,裁判例の調査をする場合に,判決書だけではなく,当事者の主張内容や提出証拠をも検討する必要があるときもあります。

 

裁判所の判決書は,当事者の主張内容や証拠の内容によって顕在化された争点について判断したものになります。

 

そのため,当事者間の主張内容や証拠の内容を検討して初めて裁判例を理解できることもあるからです。

 

民事訴訟法第91条第1項には,何人も,裁判所書記官に対し,訴訟記録の閲覧を請求することができると規定されています。

 

そのため,どなたでも,原則として,訴訟記録の閲覧が可能です。

 

もっとも,訴訟記録の閲覧をするためには,訴訟記録が置かれている裁判所まで行かなければなりません。

 

そのため,遠方の裁判所で審理された訴訟記録など,閲覧のために,相当な負担がかかる場合もあります。

 

また,民事訴訟法第91条には,閲覧が認められない例外事由も規定されており,必ず閲覧ができるというわけでもありません。

 

私についていえば,これまで,名古屋地方裁判所で審理された事件記録を閲覧したことがあります。

 

同じ事務所以外の弁護士の主張書面等を閲覧する機会はないので,色々な点で,参考になります。

 

 

書面による準備手続

コロナウイルスの影響で,オンライン会議などが主流となる企業が増えていると聞きます。

 

法曹業界も,コロナウイルスの影響は避けられず,電話会議やオンラインを利用した裁判期日・打ち合わせが増えているように感じます。

 

しかし,民事訴訟などの裁判手続について,電話やオンラインを利用した期日を導入する場合,一定の制約が生じます。

 

すなわち,民事訴訟などの裁判手続は,民事訴訟法などの法律の規定に従って運用されるため,法律で定めた手続に反する運用は行えないという制約です。

 

弁護士会・裁判所では,コロナウイルスの影響が生じる前から,ウェブ会議など,オンラインを利用した手続の導入を目指した議論がされていましたが,その実現には民事訴訟法の改正が必要になる可能性もあり,現行の民事訴訟法の規定で行えない運用もあります。

 

そのため,コロナウイルスの影響が出た場合において,オンラインや電話を利用した期日の運用が必要になるときには,現行の民事訴訟法の規定の範囲内で行わなければならないという制約が生じます。

 

この課題を解決する方法として,利用されている一例が,書面による準備手続(民事訴訟法175条以下)です。

 

書面による準備手続とは,当事者の出頭なしに準備書面の提出等により争点及び証拠の整理をする手続をいい,裁判所・当事者双方全員が電話によって期日に参加することを可能とする手続です。

 

民事訴訟法では,書面による準備手続は,当事者が裁判所の遠隔の地にいる等,相当な場合に行えるという要件があり,無制約に行える手続きではありません。

 

そこで,裁判所は,コロナウイルスによる感染を防ぐという事情をもって,上記相当性の要件を満たすと判断し,書面による準備手続を運用しているようです。

 

ただし,書面による準備手続は,準備手続の陳述や証拠調べを行えない等の限界があります。

 

そのため,民事訴訟における審理をすべて電話会議のみで行うことはできず,電話を利用した期日としてはまだまだ問題点があるように感じますが,現行の民事訴訟法の規定のもと工夫された運用方法であると思います。

 

名古屋地方裁判所などでも,電話会議が増えている実感があります。

今後,ますます,民事訴訟の運用に変化が生じると思うと,議論に目が離せません。

無保険車傷害保険

私が住む愛知県は,交通事故の発生件数が少なくありません。

交通事故に遭われた方の中には,加害者が無保険であるというケースもあるようです。

今回は,加害者が無保険車である場合に機能する無保険車傷害保険についてご説明します。

 

1 無保険車傷害保険とは

 

無保険車傷害保険とは,人身事故の被害者が,加害者が対人賠償責任保険(共済)をつけていない,責任保険金額が不十分であった,あるいは,当て逃げ等のために加害者不明の場合などの場合に備えた損害保険であり,被害者の保険です。

 

2 無保険車傷害保険の必要性

 

交通事故の被害者は,原則として,事故の責任のある加害者へ請求することになります。

加害者に賠償責任保険(自賠責保険や任意の対人賠償責任保険)がある場合には,賠償責任保険会社から補償を受けることになります。

他方で,加害者が賠償責任保険に加入していない場合には,加害者本人に請求をしなければなりません。

また,自賠責保険にのみ加入している場合,,自賠責保険の支払金額を超えた損害がある場合には,加害者本人に請求することになります。

加害者本人に十分な資力がない場合には,被害者は十分な補償を受けられません。

そこで,このような場合に,無保険車傷害保険など被害者の保険を使う必要がでてきます。

 

3 無保険車傷害保険の内容

 

無保険車傷害保険は,被保険者の死亡または後遺障害による損害を補償する保険です。

そのため,被害者が単なる傷害しか負っていない場合には,この保険は機能しません。

支払われる保険金額(損害額)は,保険会社の対人賠償責任保険の支払基準に基づいて被害者と保険会社が協議を行って支払額が決定されます。

協議が成立しない場合には訴訟もあり得ますので,無保険車傷害保険の協議をする前に弁護士に相談するとよいかもしれません。

 

なお,当法人は,四日市法律事務所を開設しました。

裁判例の読み方

法律実務を扱う上で,過去の裁判例の理解及び検討は必要不可欠です。

 

日本法において,過去の裁判例は法源とはなりませんので,先例拘束性の原理はもちません。

 

しかしながら,民事訴訟において,最高裁判所の判例・大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断をした判決は,上告理由となりえます(民事訴訟法318条1項)。

 

また,法律実務において,上記裁判例に当たらなくても,参考として参照するべき価値のある裁判例であれば,法律の適用判断の重要な判断指標となります。

 

そのため,過去の裁判例の適用範囲を理解・検討することは重要です。

 

判例の適用範囲を考えるにあたり,判例分類を考える必要があります。

 

ある制定法の条件又は効果に係る規定の解釈(法的意義)に関して判断を示したもの,制定法の要件効果を前提に当該事例に対する適用について判断を示したものもあります。

 

そのため,裁判例といっても適用範囲は様々であり,一概に判断することはできません。

 

裁判例の適用範囲について検討するときには,最高裁判所民事判例集などの判例解説やコンメンタール等の条文解説書などを踏まえて,検討することになります。

 

過去の裁判例の分析検討は,学生のときに力を入れて勉強していたのですが,実務に入ってからも研鑽しなければなりません。

 

愛知県弁護士会には図書館などもありますので,期日の合間に勉強することも欠かせません。

下請企業の作業員による元請企業への賠償請求

名古屋も暖かくなってきましたが,まだまだコロナウイルスの影響がなくなりませんね。

 

今回は,労災事故についてご説明いたします。

 

建設現場,工事現場あるいは工場内作業では,下請企業の作業員や派遣会社から派遣されてきた作業員が作業するケースも少なくありません。

 

元請企業の作業現場で作業に従事していた下請企業の作業員が,怪我を負うケースも散見されるところです。

 

下請企業の作業員が,元請企業の作業現場で作業をしている場合において,怪我を負ったときには,元請企業に対して,怪我を負ったことについて損害賠償請求ができるのでしょうか。

 

1 賠償請求の法的根拠

 

従業員が作業中に怪我をした場合において,勤務先企業に賠償請求をするときには,安全配慮義務違反を根拠に賠償請求することが考えられます。

 

賠償請求の法的根拠は,その他にも,使用者責任や工作物責任などもあります。このブログを参照してください。

 

安全配慮義務とは,使用者が,労働者の生命・身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう,必要な配慮をする義務をいい,判例によって認めれた後,労働契約法5条によって使用者の義務として明文化されています。

 

下請企業の作業員が,元請企業に対して,損害賠償請求をするときにも,元請企業に対して安全配慮義務違反を理由に損害賠償請求をすることが多いです。

 

2 元請企業に対して安全配慮義務違反を問えるか

 

元請企業に対する損害賠償請求が認められるためには,安全配慮義務違反を基礎づける法令・通達等の違反の事実が必要です。

 

しかしながら,上記義務違反のみで直ちに損害賠償請求が認められるわけではありません。

 

元請企業と下請企業の作業員との間には,労働契約を締結していないため,契約上の規律はなく,元請企業は下請企業の作業員に対して安全配慮義務を負わないのではないかと考えられる余地があるからです。

 

すなわち,下請企業の作業員を直接的に指揮・命令するのは,下請企業になります。

 

そのため,下請企業の作業員に対して安全配慮義務を負う使用者は,元請企業ではなく,下請企業のみではないかという問題点があります。

 

3 最高裁判所の判例

 

最判平成3年4月11日労判590号14頁では,元請企業の造船所においてハンマー打ちの作業に従事していた下請企業の労働者が,職場の騒音によって聴力障害に罹ったとして,元請企業に対して安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求をした事案において,以下のポイントを指摘して,元請企業に対して安全配慮義務違反を認めました。

 

すなわち,①下請労働者が元請企業の管理する設備・器具等を使用し,②元請企業の指揮監督を受けて稼働し,③作業内容も元請企業の労働者とほぼ同じであったこと等のポイントです。

 

上記判例は事例判例でありますが,直接の契約関係にない元請企業が下請企業の作業員に対して安全配慮義務を負うことを前提とした事案で意義のある裁判例です。

 

下請企業の作業員の立場としては,上記ポイントを参照しつつ,安全配慮義務違反を問えるかを検討していくことになりますが,上記ポイントを満たさない場合でも,元請企業に対して損害賠償請求をできる場合も少なくありません。

 

労災によって怪我をした場合,その後遺障害によって一生が左右される可能性もあります。

 

そのため,適切な賠償請求をすることが必要不可欠です。

 

労災事故については,経験やノウハウが要求されるので,労災に詳しい弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

 

感染防止

コロナウイルスが流行っています。

 

幸いにも,現時点までにおいて,私の周りでコロナウイルスに罹った人はいないのですが,予断はできません。

 

コロナウイルスの感染拡大防止のために,事務所内でも,裁判所内でも,弁護士会内でも,厳重な対策がとられています。

 

裁判所では,期日で使われるラウンドテーブルの椅子に座るときは,隣の人と1席以上間隔をあけて座るように指示している裁判所もあります。

 

また,噂では,マスクをつけないと裁判所に入れないという運用をしている裁判所もあるようです。

 

現時点では,コロナウイルスの影響で,予定されていた裁判期日が延期されるというケースは聞いたことがないのですが,この先はそのようなことも考えられるのでしょうか。。。

 

民事事件や刑事事件など,延期できない手続きや期日は少なくありませんので,裁判所の厳重な予防措置も必要なのかもしれません。

 

私が所属する愛知県弁護士会でも,弁護士向けに予定されていた直近の研修はほとんど中止・延期になってしまいました。

 

弁護士会の研修は,他の弁護士や裁判官からのノウハウや経験を聞けることが多く,楽しみにしていた研修もありましたので,残念ですが,やむを得ないと思います。

 

研修がない分,自分で,文献調査や判例調査をする時間に充てています。

 

時間をかけて必要な調査や情報の習得ができる点はありがたいのですが,やはり,他の弁護士の経験を聞くという点には限界があるので,文献調査・判例調査だけではなく,弁護士会の研修参加も重要だと感じます。