裁判例の読み方

法律実務を扱う上で,過去の裁判例の理解及び検討は必要不可欠です。

 

日本法において,過去の裁判例は法源とはなりませんので,先例拘束性の原理はもちません。

 

しかしながら,民事訴訟において,最高裁判所の判例・大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断をした判決は,上告理由となりえます(民事訴訟法318条1項)。

 

また,法律実務において,上記裁判例に当たらなくても,参考として参照するべき価値のある裁判例であれば,法律の適用判断の重要な判断指標となります。

 

そのため,過去の裁判例の適用範囲を理解・検討することは重要です。

 

判例の適用範囲を考えるにあたり,判例分類を考える必要があります。

 

ある制定法の条件又は効果に係る規定の解釈(法的意義)に関して判断を示したもの,制定法の要件効果を前提に当該事例に対する適用について判断を示したものもあります。

 

そのため,裁判例といっても適用範囲は様々であり,一概に判断することはできません。

 

裁判例の適用範囲について検討するときには,最高裁判所民事判例集などの判例解説やコンメンタール等の条文解説書などを踏まえて,検討することになります。

 

過去の裁判例の分析検討は,学生のときに力を入れて勉強していたのですが,実務に入ってからも研鑽しなければなりません。

 

愛知県弁護士会には図書館などもありますので,期日の合間に勉強することも欠かせません。

感染防止

コロナウイルスが流行っています。

 

幸いにも,現時点までにおいて,私の周りでコロナウイルスに罹った人はいないのですが,予断はできません。

 

コロナウイルスの感染拡大防止のために,事務所内でも,裁判所内でも,弁護士会内でも,厳重な対策がとられています。

 

裁判所では,期日で使われるラウンドテーブルの椅子に座るときは,隣の人と1席以上間隔をあけて座るように指示している裁判所もあります。

 

また,噂では,マスクをつけないと裁判所に入れないという運用をしている裁判所もあるようです。

 

現時点では,コロナウイルスの影響で,予定されていた裁判期日が延期されるというケースは聞いたことがないのですが,この先はそのようなことも考えられるのでしょうか。。。

 

民事事件や刑事事件など,延期できない手続きや期日は少なくありませんので,裁判所の厳重な予防措置も必要なのかもしれません。

 

私が所属する愛知県弁護士会でも,弁護士向けに予定されていた直近の研修はほとんど中止・延期になってしまいました。

 

弁護士会の研修は,他の弁護士や裁判官からのノウハウや経験を聞けることが多く,楽しみにしていた研修もありましたので,残念ですが,やむを得ないと思います。

 

研修がない分,自分で,文献調査や判例調査をする時間に充てています。

 

時間をかけて必要な調査や情報の習得ができる点はありがたいのですが,やはり,他の弁護士の経験を聞くという点には限界があるので,文献調査・判例調査だけではなく,弁護士会の研修参加も重要だと感じます。

作業中の事故など労働災害の損害賠償請求の法的根拠

私は,愛知・岐阜・三重などの東海地方において,工事現場や工場などでの作業中にケガを負った労働者の方から,企業への損害賠償請求について,ご依頼・ご相談を受けることがあります。

 

今回は,作業中にケガを負った労働者が,加害者あるいは勤務先企業等に対する損害賠償請求をする場合の法的根拠について,ご説明いたします。

 

1 法律構成

 

① 不法行為責任・使用者責任

 

他の労働者等第三者に,被災原因について,故意過失がある場合,その第三者は,被害者に対して,不法行為責任を負います。

 

また,被災原因について故意過失のある第三者が,業務中の場合,第三者の指揮監督をする使用者(被害者の上司あるいは会社など)は使用者責任を負います。

 

② 工作物責任

 

労働者が,作業中にケガを負った場合に,ケガの発生が,施設など工作物の装備や設備が不十分であることに起因する場合,当該工作物の占有者や所有者に対して,損害賠償請求をすることができる場合があります。

 

③ 自賠責法第3条に基づく責任

 

車両にひかれたためにケガを負ったなど,車両の運行に起因して事故が発生した場合,車両の運転者に対して,損賠賠償請求をできる場合があります。

 

④ 債務不履行責任

 

当事者間での契約上の義務等や安全配慮義務等の違反がある場合に,企業や所属会社に対して,債務不履行責任として,損害賠償請求ができる可能性があります。

 

2 安全配慮義務について

 

安全配慮義務とは,ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において,当該法律関係の付随的義務として,当事者の一方又は双方が相手方に対して負担する義務をいいます。

 

安全配慮義務は,陸上自衛隊八戸車両整備工場事件判決(最判昭和50年2月25日民集29巻2号143頁)において,最高裁判所が認めた法律上の義務です。

 

現在は,労働契約法第5条により法律上の根拠として認められています。

 

作業中の事故など労災事故については,証拠資料の収集や賠償請求の組み立てなど専門的な知識と経験が問われる事件です。

 

また,労働事件に詳しい弁護士といっても,残業代請求や労務管理に詳しい弁護士であり,労災事故の経験が十分とは言えない弁護士もいるものと思われます。

 

作業中にケガを負われた被害者の方は,労災事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

裁判期日の雑感

どのような分野の事案でも,裁判に至るケースというのがあります。

 

このような裁判対応については,弁護士の主要業務といってよいと思います。

 

裁判対応とは,具体的にいうと,相手方と話し合いでの解決ができないときに,やむを得ず,訴訟提起をする,あるいは相手方から訴訟提起をされる場合の,裁判の対応です。

 

民事裁判の期日でどのようなことが行われるかについては,事案の内容にもよりますが,大まかにいえば,期日までに当事者から提出された主張書面や証拠書類の確認と,双方の主張内容の確認,争点の確認,今後の審理の方針のすり合わせなどが行われます。

 

とはいえ,期日においてどの程度の討議ややり取りがされるかについては,事案の内容や裁判官の個性によって,様々です。

 

私が多く扱う交通事故や労災事故についていえば,もちろん事案の内容の違いが大きいとは思いますが,少なからず裁判官の個性による違いもあるのではないかと思います。

 

例えば,裁判官が積極的に当事者双方に主張内容を確認し今後主張や立証してほしいポイントを指示していく,いわば裁判官主導型の裁判官もいます。

 

私が出会ったある裁判官は,1回の期日で,30分以上の時間をかけて,今後の審理の方針や争点の確認の打ち合わせをされた方もいらっしゃいました。

 

他方で,裁判官が積極的に介入するのではなく,主張内容や立証方法について当事者の意向を最大限尊重するという非主導型の裁判官もいらっしゃる気がします。

 

もちろんこれは,当事者双方の主張内容から,争点や今後の審理の方針が明確になっているため,あえて積極的に介入する必要がないからという理由もあります。

 

そのような場合には,淡々と,審理の方針を確認して,10分未満で期日が終わる裁判期日もあります。

 

どのような裁判であっても,私としては,裁判の期日の前日には,記録を読み直して,期日での審理に備えていくことに変わりはありませんが,たくさん裁判をしていくと,様々な裁判官に出会うことができますので,いろんな裁判官がいるなぁと思います。

 

私は名古屋や岐阜の裁判所に行くことが多いですが,地域や地方によって,違いがあるのかなぁと思うことがあります。

人身傷害保険

被害者が交通事故に遭った場合,加害者や加害者加入の保険会社への損害賠償請求をすることが可能です。

 

もっとも,被害者にも落ち度があり,過失がある場合には,加害者へ請求できるのは,損害のうち加害者の過失割合相当分のみになります。

 

そのため,被害者側の過失割合が一定程度ある場合には,加害者への賠償請求によっても十分な賠償を受けられない可能性もあります。

 

このような場合に備えて,被害者側の保険に人身傷害保険の付帯があると,便利です。

 

人身傷害保険は,契約者である被害者に過失があるときでも,その過失割合を考慮することなく,一定額の保険金を支払う保険です。

 

言い換えれば,人身傷害保険は,被害者が被る損害に対して支払われる傷害保険金として,被害者が被る実損をその過失の有無,割合にかかわらず塡補する保険金といえます。

 

 

被害者に一定の過失割合があり,かつ,人身傷害保険への加入がある場合,被害者は,加害者への賠償請求及び自身の人身傷害保険への保険金請求の両方ができることになります。

 

そのため,少なくとも,裁判をした場合には,損害のうち,加害者過失割合相当分について加害者から賠償金を支払ってもらい,加害者へ請求できない自己過失割合相当部分について,人身傷害保険より支払ってもらう可能性がでてきます。

 

これは,人身傷害保険の保険金を支払った保険会社の代位の範囲について判旨した最判平成24年2月20日民集66巻2号742頁を踏まえて,保険約款の規定がそのような規定になっている保険会社が多いためです。

 

稀に,インターネットの記事では,人身傷害保険があれば,必ず被害者の過失割合相当部分の支払いが受けられるという記事をみることもありますが,これは適切な見解ではないと考えています。

 

上記最判平成24年2月20日判決は,あくまで,保険約款に定める代位の規定に「保険金請求権者(注:被害者のこと)が他人に損害賠償の請求をすることができる場合には,訴外保険会社は,その損害に対して支払った保険金の額の限度内で,かつ,保険金請求権者の権利を害さない範囲内で,保険金請求権者がその他人に対して有する権利を取得する」という規定がある場合の,約款の解釈についての判断です。

 

そのため,加害者への賠償請求と人身傷害保険の保険金との関係については,あくまで,被害者が加入する人身傷害保険についての保険約款を確認する必要があります。

 

大きなけがを負ったにもかかわらず,被害者側の過失割合が大きいことを理由に,加害者側の任意保険会社から保険金の支払いを拒否されることがありますが,人身傷害保険がある場合には,対応方法が柔軟になります。

 

私が住む愛知県では交通事故が多いですから,人身傷害保険への加入は検討されてみても良いのではないかと思います。

インターネットの知識と弁護士

インターネットなどで情報収集が容易な昨今,周りの人から,弁護士に相談する意味や依頼する意味はあるのかと聞かれることがあります。

 

確かに,知識を提供するという点では,弁護士に相談しなくともインターネットなどで調査できるという面はあると思います。

 

しかし,それでもなお,私個人としては,弁護士に相談するメリットがあるのではないかと考えています(もちろん私が弁護士だからということもありますが,決して営業トークではないです)。

 

例えば,私が多く扱う交通事故や労災事故についても,文献や判例雑誌はたくさんあります。また,インターネットにもたくさん知識があふれています。

 

けれども,知識を知っているだけでは実務では役に立ちません。

 

知識や情報をどのように理解し,個々の事案においてどのように使うかを判断する必要に迫られます。

 

知識や情報はあくまで一般論のものですから,インターネットや雑誌だけでは,目の前にあるケースにおいてその知識や情報がどのような意味をもつのかという答えはかえってきません。

 

そのため,各人で, 知識や情報をどのように理解し,個々の事案においてどのように使うかを判断する必要があります。

 

弁護士に依頼する意味の重要な1つは,まさに,この判断をすることにあると感じています。

 

さらにいえば,1つの事案でも,弁護士が事案の解決のための見通しやポイントなどを説明する場合に,弁護士によって説明の仕方や重点に違いが生じてくることも少なくないように思います。

 

例えば,法律問題に悩む人に,事件の見とおしを説明する場合,専門的な知識や法律をそのまま伝えても意味がありません。その方の事情に即して,法律問題のポイントを具体的に説明する必要があります。

 

 

しかし,1つの事案について,弁護士によって特に大事だと思っているポイントが違うこともあります(ただし,当法人の弁護士は当法人内外で研修をたくさん受け,情報を共有しているため,ポイントや考え方に大きな違いはないように思います。)

 

その場合には,弁護士の考え方の違いから,説明の重点の置き方に違いが生じてきます。

 

これは,一般的な知識を前提に,個々の弁護士が,その事案について,どのような見とおしをもっているか,どのような見立てをしているかの違いといってもいいと思います。

 

一般的な知識は同じでも,弁護士によって,見立ての仕方が変わってくることは珍しくありません。

特に違う法律事務所の弁護士との相談の比較において顕著に感じます。

 

そう考えると,個々の事案を解決するためには,インターネットでの知識だけでは不十分であり,弁護士に相談する意味・依頼する意味があると思います。

 

私自身,愛知県,岐阜県,三重県,福井県などの地域で,これまで数多くの依頼者の方にご依頼をいただいておりましたが,依頼者の方に上手く説明できたこともあれば,依頼者の方にモヤモヤさせてしまったこともあります。

 

依頼者の方に上手く説明できなかったときには,その日一日,悩むことも少なくありません。

 

 

基本の重要性

 

交通事故,労災事故など,依頼者の方に満足していただける解決をするためには,適切な事案対応が必要不可欠です。

 

適切な事案対応のためには,最新の知識や判例に至るまで,深く広く理解する必要があります。

 

しかし,弁護士としてそれ以上に重要な素養として,民法や民事訴訟法など基本的な法律に対する深い理解が必要であると思っています。

 

私自身の自戒にもなりますが,個々の事案の対応にあたっては,民法や民事訴訟法の基本原理に基づいて,議論を整理し,論点を分析し,事案の対応を検討する能力(もちろん経験も)が必要不可欠だからです。

 

例えば,交通事故や労災事故を扱う文献や判例雑誌は数多くありますが,それでも判例の集積や学説の議論が十分とはいえない論点も少なくありません。

 

また,複雑な事件のために,そもそもどのような問題点や論点があるのかの整理から必要となるケースもあります。

 

そのような事案にぶつかったときに,民法や民事訴訟法の基本原理に立ち返って検討することで,解決の突破口を見つけることがあります。

 

さらにいえば,一見複雑な事案でも,実は民法や民事訴訟法の基本的な理解が求められているだけであり,解決は容易であるという事案も少なくありません。

 

 

そのため,私自身の自戒を込めて,弁護士の重要な素養として,民法や民事訴訟法など基本的な法律に対する深い理解が必要不可欠であると思っています。

 

民法や民事訴訟法,刑法などの基本法は,司法試験で勉強する基本科目ですので,弁護士などの法曹人は,学生自体から勉強しています。

 

それでも,専門的な分野を扱う実務において,民法や民事訴訟法の基本原理を踏まえて対応することは,決して容易なことではありません。

 

少なくとも,私自身についていえば,特に弁護士になりたての頃には,民法や民事訴訟法の基本原理に立ち返った対応ができていなかったのではないかと思うこともあります。

 

私は,このような反省を踏まえて,弁護士として仕事をするようになって以降,学生時代以上に学ぶ機会を大事にするようになりました。

 

その結果,今では,事務所内の研修,所属する愛知県弁護士会での研修を積極的に受講し,座学だけではなく,座学では学べない実務知識を習得することを心掛けるようになり,また,休日には図書館などで調べ物や調査などの勉強をするようになりました。

事故と歯牙障害

1 交通事故・労災事故で歯に障害が残ってしまった

 

交通事故や労災事故で歯が複数本欠けてしまったり,折れてしまったがために,今後の生活に大きな影響が起きることがあります。

 

 

私は,名古屋や東海地方などで交通事故や労災事故の相談に数多く対応しておりますが,自転車での事故や業務中の転倒事故などで歯牙障害の障害が残る方も少なくありません。

 

歯は日常生活において不可欠なものですから,適切な賠償金をとる必要がありますが,具体的にどのような賠償金がありえるのでしょうか。

 

今回は歯牙障害について説明いたします。

 

2 後遺障害とは,

 

後遺障害とは,これ以上治療を続けても症状の改善が望めない状態(症状固定)になったときに存在する障害をいいます。

 

症状固定になったときに残った症状が全て後遺障害となるわけではありません。

 

交通事故による後遺障害の認定は,自動車賠償保障法施行令の別表第1及び第2に定めた,後遺障害別等級表に基づいて判断されます。

 

労災事故についても,同様の等級表に基づいて判断されます。

 

そのため,後遺障害が認定されるかどうかは,症状が,別表に定められた等級表に該当するかどうかが重要になります。

 

3 歯に関する後遺障害(歯牙傷害)

 

歯に関する後遺障害については,以下のものがあります。

10級4号 14歯以上に対し,歯科補綴を加えたもの
11級4号 10歯以上に対し,歯科補綴を加えたもの
12級3号 7歯以上に対し,歯科補綴を加えたもの
13級5号 5歯以上に対し,歯科補綴を加えたもの
14級2号  3歯以上に対し,歯科補綴を加えたもの

 

歯科補綴など,難しい表現があるものの,わかりやく説明すると,交通事故や労災事故で現実に喪失したり,著しく歯が欠けた歯の本数が対象になっていきます。

 

4 後遺障害が認定された場合の慰謝料

 

後遺障害が認定された場合,後遺障害慰謝料というものが別途請求できますが,歯に関する後遺障害慰謝料について,裁判基準の目安としては,以下のとおりになります。

10級4号 550万円
11級4号 420万円
12級3号 290万円
13級5号 180万円
14級2号 110万円

 

上記は,あくまで目安額であり,個別的な事情も考慮されることがありますが,歯に関する後遺障害では,上記表のとおり,高額な後遺障害慰謝料が認められる傾向にあります。

 

5 後遺障害逸失利益については注意が必要

 

後遺障害逸失利益は,後遺障害により労働に支障が生じた場合に,その労働能力喪失分を損害として請求するものです。

 

逸失利益は,事故前年の基礎収入×労働能力喪失率という計算方法により計算されます。

 

交通事故の赤本などで掲載されている,後遺障害別等級表・労働能力喪失率⑴という表があり,逸失利益の計算では,後遺障害の等級に従った労働能力喪失率を参考に計算することが多いです。

 

しかしながら,労働能力喪失率は,職業,年齢,後遺障害の部位,程度,事故前後の稼働状況を踏まえて,総合的に判断されます。

 

歯に関する後遺障害の場合には,現実の労働に支障がないと判断され,労働能力喪失率は認定されなかったり,著しく低い喪失率と判断される可能性もあるので,注意が必要です。

 

労災や交通事故で歯に関する後遺障害が残りそうな場合には,一度,弁護士に相談してください。

別居中の夫婦間における子供の監護者と子の連れ去りの対応

弁護士の山田です。

 

今日は近年増加している夫婦関係の問題について説明いたします。

 

1 別居中の夫婦間で問題となる子供の監護のケース

 

離婚は成立していないが、離婚を前提にして別居がされた場合に婚姻関係が続いている場合があります。

 

この夫婦間に未成年の子供がいる場合、主に子供を監護する親をどちらにするか決める必要が出てくることがあります。

 

そこで、今回は、①別居中の夫婦間における子供の監護者の決定方法、②離婚していないが別居中の夫婦間において一方の親が子供を連れ去った場合の対応方法について、ご説明いたします。

 

2 別居中の夫婦間における親権者・監護権者

 

子供の監護については、監護教育権(民法820条)として、親権の一内容として位置づけられます。

 

未成年の子については父母の親権に服するので、原則として、父母の婚姻中、親権は父母が共同して行使することになります(民法818条1号)。

そのため、別居の夫婦の場合でも、婚姻関係が継続している場合には、子供に対する監護権については父母が共同して行使することになります。

 

3 別居中の夫婦間での監護者の決定をする場合がある

 

しかしながら、別居の場合の事実上の子どもに対する監護者の取り決めをする必要がある場合も少なくありません。

 

夫婦間で監護者の取り決めの合意がまとまる場合には、その合意に基づいて監護者を取り決めることで足ります。

 

しかしながら、監護者の合意がまとまらない場合には、監護者の指定を求める審判(家事39条・別表2第3項)により、監護者を定めることになります。

 

4 別居中の夫婦での子供の連れ去り

 

すでに述べたとおり、別居の夫婦の場合でも、婚姻関係が継続している場合には、子供に対する監護権については父母が共同して行使することになります。

 

それでは、別居中の夫婦間において、一方の親が、他方の親の下にいる子供を勝手に連れ去ってしまった場合、連れ去った親に対して子供の引き渡しを求めることはできないのでしょうか。

 

結論から言えば、法的手続きにより、子の監護権者の指定及び子の引き渡しを求めることができます。

 

5 子の監護権者の指定及び子の引き渡しを求める法的手続き

 

子の監護権者の指定及び子の引き渡しは、「子の監護に関する処分」にあたり、審判事項とされますので(家事39条・別表第3項)、調停又は審判を申し立てることになります。

 

また、子の引き渡しを求める手続きをとる場合、それが緊急を要する場合も少なくありません。

 

そこで、このような場合には、調停又は審判の確定前に、「婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分」として、子の引き渡しの仮処分を申し立てることも可能です。

婚姻費用について

 

 

名古屋も寒さが増してきましたね。

 

今回は婚姻費用についてご説明いたします。

 

1 婚姻費用とは

 

結婚している夫婦は,その居住費や生活費を分担する義務を負っています。

 

ところが,関係が悪化し別居する場合,居住費や生活費の分担が行われず,一方の当事者が困窮するというケースがあります。

 

典型的な例としては,夫と妻の収入に格差があるにもかかわらず,家を出た夫が妻に生活に必要なお金を払わないため,妻の生活が困窮するケースです。

 

このような場合に,収入の少ない当事者が,他方当事者に対して,離婚が成立するまでの間の居住費・生活費(婚姻費用)を請求できる場合があります。

 

2 婚姻費用の額

 

婚姻費用として請求できる額は,現実に負担している居住費・生活費の全てというわけではありません。

 

婚姻費用は,①当事者双方の収入,②同居している子供の年齢と人数,③特別に考慮するべき事情を踏まえて,算定されます。

 

裁判所などの実務上では,婚姻費用の算定は,裁判所の「養育費・婚姻費用算定表」に基づいて,決定されることが多いです。

 

もっとも,算定表に基づく場合でも,特別な事情がある場合には別途の考慮がなされます。

 

3 婚姻費用の支払対象期間(請求の始期・終期)

 

最高裁(最決昭和40年6月30日民集19巻4号1114頁)では,過去に遡って婚姻費用の分担の審判ができる旨判旨していますが,請求の始期について裁判例は,要分担状態発生時と申立時とで見解が二分されていて,確立した裁判例はありません。

 

もっとも,実務上は,申立時から請求することが多いです。これは,要分担状態発生時とした場合,その時点を特定できる資料が乏しいことが多いためです。

 

請求の終期については,離婚が成立した場合あるいは別居関係が解消した時点であることが一般的です。

 

4 請求の手続き

 

婚姻費用の請求については,当事者間(代理人となる弁護士を交えた場合を含む)の合意に基づく場合,裁判所の調停又は審判の申立をする場合があります。

 

どのような手続きを選択するかについては,ケースバイケースになりますので,打ち合わせを通じて決定していくことが多いです。

 

5 婚姻費用の請求は離婚や親権問題も問題になりうる

 

婚姻費用の請求をする場合の多くは婚姻関係が破綻しているあるいは冷え込んでいる場合になります。

 

そのため,婚姻費用の問題にとどまらず,関連して,相手方より,離婚を要求されたり,離婚に伴う親権問題の対応が必要になってくるケースも珍しくありません。

 

 

 

交通事故の被害にあったらどうするか

名古屋の弁護士の山田です。

 

弁護士法人心では,交通事故の被害にあわれた方の相談も受けています。

その中でも,交通事故の被害にあうのが初めてで,事故の後,なにをするべきなのかわからないという相談が多くあります。

そこで,今日は,交通事故の被害者の方が,事故の後,どうしたらよいのかについて,お話したいと思います。

 

 

1 警察に届け出をする

交通事故にあった場合,本来は加害者が,その場で,すぐに警察に通報するなどして事故の報告をする必要があります。

しかし,加害者がすぐに警察に通報しない場合には,被害にあわれた方が警察に通報するなどして報告をするのがよいでしょう。

警察に報告をしないと,交通事故を証明する交通事故証明書が作成されませんし,警察の捜査も行われないため,交通事故の有無や状況が記録に残らず,後から事故の有無や状況について加害者と揉めても,証拠となる書類がないということになってしまいます。

 

2 怪我をした場合,救急車を呼ぶなどしてすぐに病院で治療を受ける

交通事故で怪我をした場合,警察に報告をするのと同時に,救急車を呼ぶなどしてすぐに病院に行き治療を受けましょう。

事故直後は痛みがなくとも日にちがたってから痛みがでてくる場合や,怪我の治療が遅れたために怪我が悪化するということもあります。そのため,少しでも痛みや違和感がある場合には,すぐに病院に行って治療を受けることをお勧めします。

 

3 保険会社の担当者に事故があったことを知らせる

ご自身が自動車保険に加入されている場合には,その保険会社の担当者や代理店の担当者に連絡をしてください。

事故の際に乗られていた車やバイク,自転車が壊れた場合や,お怪我がある場合に,相手やその保険会社からだけではなく,ご自身が加入している保険会社からも,保険金の支払いを受けることができる場合もあります。

 

 

交通事故の被害にあった場合,他にも対応に困ることがあるかと思います。

弁護士法人心の名古屋駅法律事務所は名古屋駅から徒歩0.5分の距離にありますので,

困ったら一度弁護士法人心にお電話ください。

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