事案の本質を把握する

近年、弁護士の業務は広がりを見せており、業務内容も多岐にわたります。

 

業務内容が違うと対応方法や分析の視点が180度変わることも珍しくありません。

 

しかし、他方で、どのような業務であろうと、常に必ず求められることも存在します。

 

それは、結論を左右するポイント、言い換えれば、当該事案の本質を把握するということです。

 

例えば、顧問先から法的意見を求められた場合、その事案の本質を把握しないと、回答自体が誤ってしまう可能性があります。

 

また、仮に、結論自体が誤っていないとしても、事案の本質を踏まえた結論過程になっていない以上、顧問先にその結論の正当性を理解してもらうことができません。

 

事案の本質を把握することの重要性を理解していない法律実務家はいないと思います。

 

私も、学生時代から現在まで、恩師・先輩方から、何度も事案の本質を把握する力を養うことの重要性を学んできました。

 

しかし、この「事案の本質」は、事案によって大きく変わってきますので、簡単に把握できるものではありません。

 

例えば、「事案の本質」が法律解釈の問題である事案もあれば、「事案の本質」が関係者の性格である事案もあります。

 

この事案の本質を把握する力として求められるのは、法的知識や経験はもちろんですが、最近は回答を求められる弁護士の「ものの見方」も求められているのではないかと考えるようになっています。

 

そして、この「ものの見方」というのは、人間に対する理解、様々な人生観に対する理解や共感だと考えています。

 

結局のところ、法的トラブルは人と人との間で生じるトラブル(企業間トラブルも突き詰めると人と人とのトラブルに含めることが可能だと思います)ですので、人間に対する理解、様々な人生観に対する理解や共感が備わっていないと、事案の本質を把握することはできないように思うからです。

 

弁護士として求められる素養は奥が深く、法律分野の研鑽だけでは不十分だと感じています。

人事異動の時期

4月に入りました。

 

企業や公官庁では4月に人事異動が行われることも少なくありません。

 

私が担当する事案でも、保険会社の担当者が人事異動で担当変更のご挨拶をいただくことが増えています。

 

また、裁判になっている事案では、審理を担当している裁判官が人事異動によって交替する事案が複数あります。

 

愛知県内で係属している裁判に限って言えば、名古屋地方裁判所本庁・名古屋地方裁判所岡崎支部で審理中の裁判は、裁判官の交替がありました。

 

裁判官の交替は、弁護士としても関心を持つ出来事になります。

 

裁判を審理する裁判官は自らの心証(当事者の主張についての考え)を後任の裁判官に強制することはできません。

 

また、ほとんどの場合、裁判官の心証を後任の裁判官に引継ぐこともないようです。

 

そのため、前任の裁判官がこちらの主張を認める心証を抱いていても、後任の裁判官が全く別の心証を抱くことがあります。

 

すなわち、裁判官の交替によって、裁判の判断や審理の仕方に大きな変更が生じる可能性があるのです。

 

これは、事案について個々の裁判官が自らの良心に基づいて自由に心証をとることができるという憲法上の定めに基づくものです。

 

もっとも、実際には、前任の裁判官が交替する前に自らの心証を積極的に開示するという事案は必ずしも多くありません。

 

そのため、裁判官の交替によって、こちらに有利ないし不利になるかというのは、ほとんどの事案では当事者にはわかりません。

 

この時期になると、裁判官が交替するか、また、交替する場合の後任の裁判官の様子について気になる弁護士は少なくないと思います。

 

 

頭の切り替え

 

弁護士として仕事をする上で、大事なことは、法律分野以外のことにも興味を持つことではないかと思います。

 

もちろん、弁護士として法律分野に精通している必要があることは言うまでもありません。

 

弁護士として仕事をするためには、毎日、たくさんの案件を対応し、経験を積む必要があります。

 

また、特に自分が扱う分野については、休日も調査研究をすることも珍しくありません。

 

しかし、弁護士の仕事は法律以外の分野にも関係してきますので、法律分野のみ詳しくなっても物足りないと感じています。

 

そのため、法律分野以外の分野にも興味をもつことは重要だと思います。

 

また、法律分野以外のことに熱中した後は、法律実務に取り組むときにも、頭の切り替えができて、良い効果を感じます。

 

私自身、野球をしたり、ラグビーを観戦したりすることが好きですが、これらのことに熱中した後は、法律実務の仕事も捗る気がします。

 

また、法律分野以外の科学分野、歴史分野の本を読んだり話を聞くと、法律分野にはない発想に気付くことができ、とても面白いです。

 

最近は、コロナウイルスのこともあり、外出したりすることもできない状態ですので、休日の活動も制限されています。

 

私がいる名古屋地域も緊急事態宣言が続いています。

 

早くこの状況が改善するとよいと思います。

事件処理の方針策定の重要性

弁護士になりたての頃、多くの弁護士から様々なことを教えていただきました。

 

そのうちの1つに、受任時に事件処理の方針を策定することの重要性があります。

 

一口に「事件処理の方針」といっても、検討するべき事項は事案によって様々です。

 

適切な事件処理の方針の策定のためには、その事件のポイントになることを把握しなければなりません。

 

また、一旦事件処理の方針を策定しても、状況が変更した場合には、その都度、事件処理の方針を再度検討しなければなりません。

 

私は、弁護士になりたての頃から、事件処理の方針の策定を行ってきたつもりですが、今思えば、検討が不十分だったケースもありました。

 

現在、依頼者様のご意向に沿った解決のためには、あらかじめ適切な事件処理の方針の策定ができているかどうかで決まるのではないかとさえ考えるほど、事件処理の方針の策定には時間を掛けています。

 

どんな事件でも、受任時と示談交渉の前など、最低でも2回は時間を掛けて事件処理の方針を再検討しています。

 

また、事件処理の方針の再検討が必要となる場合には、その再検討の時期を逃さないことが重要です。

 

事件を多く抱えて忙しい時などには、事件処理の方針の再検討が必要になっている状況を見過ごしてしまう危険性もありますので、注意が必要です。

 

そのため、私は、1週間に1回はすべての案件の進捗状況を確認し、事件処理の方針の再検討の必要性がないか確認しています。

 

インターネットの知識と弁護士

インターネットなどで情報収集が容易な昨今,周りの人から,弁護士に相談する意味や依頼する意味はあるのかと聞かれることがあります。

 

確かに,知識を提供するという点では,弁護士に相談しなくともインターネットなどで調査できるという面はあると思います。

 

しかし,それでもなお,私個人としては,弁護士に相談するメリットがあるのではないかと考えています(もちろん私が弁護士だからということもありますが,決して営業トークではないです)。

 

例えば,私が多く扱う交通事故や労災事故についても,文献や判例雑誌はたくさんあります。また,インターネットにもたくさん知識があふれています。

 

けれども,知識を知っているだけでは実務では役に立ちません。

 

知識や情報をどのように理解し,個々の事案においてどのように使うかを判断する必要に迫られます。

 

知識や情報はあくまで一般論のものですから,インターネットや雑誌だけでは,目の前にあるケースにおいてその知識や情報がどのような意味をもつのかという答えはかえってきません。

 

そのため,各人で, 知識や情報をどのように理解し,個々の事案においてどのように使うかを判断する必要があります。

 

弁護士に依頼する意味の重要な1つは,まさに,この判断をすることにあると感じています。

 

さらにいえば,1つの事案でも,弁護士が事案の解決のための見通しやポイントなどを説明する場合に,弁護士によって説明の仕方や重点に違いが生じてくることも少なくないように思います。

 

例えば,法律問題に悩む人に,事件の見とおしを説明する場合,専門的な知識や法律をそのまま伝えても意味がありません。その方の事情に即して,法律問題のポイントを具体的に説明する必要がありますが、1つの事案について,弁護士によって特に大事だと思っているポイントが違うこともあります。

 

その場合には,弁護士の考え方の違いから,説明の重点の置き方に違いが生じてきます。

 

これは,一般的な知識を前提に,個々の弁護士が,その事案について,どのような見とおしをもっているか,どのような見立てをしているかの違いといってもいいと思います。

 

一般的な知識は同じでも,弁護士によって,見立ての仕方が変わってくることは珍しくありません。

特に違う法律事務所の弁護士との相談の比較において顕著に感じます。

 

そう考えると,個々の事案を解決するためには,インターネットでの知識だけでは不十分であり,弁護士に相談する意味・依頼する意味があると思います。

 

私自身,愛知県,岐阜県,三重県,福井県などの地域で,これまで数多くの依頼者の方にご依頼をいただいておりましたが,依頼者の方に上手く説明できたこともあれば,依頼者の方にモヤモヤさせてしまったこともあります。

 

依頼者の方に上手く説明できなかったときには,その日一日,悩むことも少なくありません。