事故と歯牙障害

1 交通事故・労災事故で歯に障害が残ってしまった

 

交通事故や労災事故で歯が複数本欠けてしまったり,折れてしまったがために,今後の生活に大きな影響が起きることがあります。

 

 

私は,名古屋や東海地方などで交通事故や労災事故の相談に数多く対応しておりますが,自転車での事故や業務中の転倒事故などで歯牙障害の障害が残る方も少なくありません。

 

歯は日常生活において不可欠なものですから,適切な賠償金をとる必要がありますが,具体的にどのような賠償金がありえるのでしょうか。

 

今回は歯牙障害について説明いたします。

 

2 後遺障害とは,

 

後遺障害とは,これ以上治療を続けても症状の改善が望めない状態(症状固定)になったときに存在する障害をいいます。

 

症状固定になったときに残った症状が全て後遺障害となるわけではありません。

 

交通事故による後遺障害の認定は,自動車賠償保障法施行令の別表第1及び第2に定めた,後遺障害別等級表に基づいて判断されます。

 

労災事故についても,同様の等級表に基づいて判断されます。

 

そのため,後遺障害が認定されるかどうかは,症状が,別表に定められた等級表に該当するかどうかが重要になります。

 

3 歯に関する後遺障害(歯牙傷害)

 

歯に関する後遺障害については,以下のものがあります。

10級4号 14歯以上に対し,歯科補綴を加えたもの
11級4号 10歯以上に対し,歯科補綴を加えたもの
12級3号 7歯以上に対し,歯科補綴を加えたもの
13級5号 5歯以上に対し,歯科補綴を加えたもの
14級2号  3歯以上に対し,歯科補綴を加えたもの

 

歯科補綴など,難しい表現があるものの,わかりやく説明すると,交通事故や労災事故で現実に喪失したり,著しく歯が欠けた歯の本数が対象になっていきます。

 

4 後遺障害が認定された場合の慰謝料

 

後遺障害が認定された場合,後遺障害慰謝料というものが別途請求できますが,歯に関する後遺障害慰謝料について,裁判基準の目安としては,以下のとおりになります。

10級4号 550万円
11級4号 420万円
12級3号 290万円
13級5号 180万円
14級2号 110万円

 

上記は,あくまで目安額であり,個別的な事情も考慮されることがありますが,歯に関する後遺障害では,上記表のとおり,高額な後遺障害慰謝料が認められる傾向にあります。

 

5 後遺障害逸失利益については注意が必要

 

後遺障害逸失利益は,後遺障害により労働に支障が生じた場合に,その労働能力喪失分を損害として請求するものです。

 

逸失利益は,事故前年の基礎収入×労働能力喪失率という計算方法により計算されます。

 

交通事故の赤本などで掲載されている,後遺障害別等級表・労働能力喪失率⑴という表があり,逸失利益の計算では,後遺障害の等級に従った労働能力喪失率を参考に計算することが多いです。

 

しかしながら,労働能力喪失率は,職業,年齢,後遺障害の部位,程度,事故前後の稼働状況を踏まえて,総合的に判断されます。

 

歯に関する後遺障害の場合には,現実の労働に支障がないと判断され,労働能力喪失率は認定されなかったり,著しく低い喪失率と判断される可能性もあるので,注意が必要です。

 

労災や交通事故で歯に関する後遺障害が残りそうな場合には,一度,弁護士に相談してください。