作業中の事故など労働災害の損害賠償請求の法的根拠

私は,愛知・岐阜・三重などの東海地方において,工事現場や工場などでの作業中にケガを負った労働者の方から,企業への損害賠償請求について,ご依頼・ご相談を受けることがあります。

 

今回は,作業中にケガを負った労働者が,加害者あるいは勤務先企業等に対する損害賠償請求をする場合の法的根拠について,ご説明いたします。

 

1 法律構成

 

① 不法行為責任・使用者責任

 

他の労働者等第三者に,被災原因について,故意過失がある場合,その第三者は,被害者に対して,不法行為責任を負います。

 

また,被災原因について故意過失のある第三者が,業務中の場合,第三者の指揮監督をする使用者(被害者の上司あるいは会社など)は使用者責任を負います。

 

② 工作物責任

 

労働者が,作業中にケガを負った場合に,ケガの発生が,施設など工作物の装備や設備が不十分であることに起因する場合,当該工作物の占有者や所有者に対して,損害賠償請求をすることができる場合があります。

 

③ 自賠責法第3条に基づく責任

 

車両にひかれたためにケガを負ったなど,車両の運行に起因して事故が発生した場合,車両の運転者に対して,損賠賠償請求をできる場合があります。

 

④ 債務不履行責任

 

当事者間での契約上の義務等や安全配慮義務等の違反がある場合に,企業や所属会社に対して,債務不履行責任として,損害賠償請求ができる可能性があります。

 

2 安全配慮義務について

 

安全配慮義務とは,ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において,当該法律関係の付随的義務として,当事者の一方又は双方が相手方に対して負担する義務をいいます。

 

安全配慮義務は,陸上自衛隊八戸車両整備工場事件判決(最判昭和50年2月25日民集29巻2号143頁)において,最高裁判所が認めた法律上の義務です。

 

現在は,労働契約法第5条により法律上の根拠として認められています。

 

作業中の事故など労災事故については,証拠資料の収集や賠償請求の組み立てなど専門的な知識と経験が問われる事件です。

 

また,労働事件に詳しい弁護士といっても,残業代請求や労務管理に詳しい弁護士であり,労災事故の経験が十分とは言えない弁護士もいるものと思われます。

 

作業中にケガを負われた被害者の方は,労災事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。