書面による準備手続

コロナウイルスの影響で,オンライン会議などが主流となる企業が増えていると聞きます。

 

法曹業界も,コロナウイルスの影響は避けられず,電話会議やオンラインを利用した裁判期日・打ち合わせが増えているように感じます。

 

しかし,民事訴訟などの裁判手続について,電話やオンラインを利用した期日を導入する場合,一定の制約が生じます。

 

すなわち,民事訴訟などの裁判手続は,民事訴訟法などの法律の規定に従って運用されるため,法律で定めた手続に反する運用は行えないという制約です。

 

弁護士会・裁判所では,コロナウイルスの影響が生じる前から,ウェブ会議など,オンラインを利用した手続の導入を目指した議論がされていましたが,その実現には民事訴訟法の改正が必要になる可能性もあり,現行の民事訴訟法の規定で行えない運用もあります。

 

そのため,コロナウイルスの影響が出た場合において,オンラインや電話を利用した期日の運用が必要になるときには,現行の民事訴訟法の規定の範囲内で行わなければならないという制約が生じます。

 

この課題を解決する方法として,利用されている一例が,書面による準備手続(民事訴訟法175条以下)です。

 

書面による準備手続とは,当事者の出頭なしに準備書面の提出等により争点及び証拠の整理をする手続をいい,裁判所・当事者双方全員が電話によって期日に参加することを可能とする手続です。

 

民事訴訟法では,書面による準備手続は,当事者が裁判所の遠隔の地にいる等,相当な場合に行えるという要件があり,無制約に行える手続きではありません。

 

そこで,裁判所は,コロナウイルスによる感染を防ぐという事情をもって,上記相当性の要件を満たすと判断し,書面による準備手続を運用しているようです。

 

ただし,書面による準備手続は,準備手続の陳述や証拠調べを行えない等の限界があります。

 

そのため,民事訴訟における審理をすべて電話会議のみで行うことはできず,電話を利用した期日としてはまだまだ問題点があるように感じますが,現行の民事訴訟法の規定のもと工夫された運用方法であると思います。

 

名古屋地方裁判所などでも,電話会議が増えている実感があります。

今後,ますます,民事訴訟の運用に変化が生じると思うと,議論に目が離せません。