事案の本質を把握する

近年、弁護士の業務は広がりを見せており、業務内容も多岐にわたります。

 

業務内容が違うと対応方法や分析の視点が180度変わることも珍しくありません。

 

しかし、他方で、どのような業務であろうと、常に必ず求められることも存在します。

 

それは、結論を左右するポイント、言い換えれば、当該事案の本質を把握するということです。

 

例えば、顧問先から法的意見を求められた場合、その事案の本質を把握しないと、回答自体が誤ってしまう可能性があります。

 

また、仮に、結論自体が誤っていないとしても、事案の本質を踏まえた結論過程になっていない以上、顧問先にその結論の正当性を理解してもらうことができません。

 

事案の本質を把握することの重要性を理解していない法律実務家はいないと思います。

 

私も、学生時代から現在まで、恩師・先輩方から、何度も事案の本質を把握する力を養うことの重要性を学んできました。

 

しかし、この「事案の本質」は、事案によって大きく変わってきますので、簡単に把握できるものではありません。

 

例えば、「事案の本質」が法律解釈の問題である事案もあれば、「事案の本質」が関係者の性格である事案もあります。

 

この事案の本質を把握する力として求められるのは、法的知識や経験はもちろんですが、最近は回答を求められる弁護士の「ものの見方」も求められているのではないかと考えるようになっています。

 

そして、この「ものの見方」というのは、人間に対する理解、様々な人生観に対する理解や共感だと考えています。

 

結局のところ、法的トラブルは人と人との間で生じるトラブル(企業間トラブルも突き詰めると人と人とのトラブルに含めることが可能だと思います)ですので、人間に対する理解、様々な人生観に対する理解や共感が備わっていないと、事案の本質を把握することはできないように思うからです。

 

弁護士として求められる素養は奥が深く、法律分野の研鑽だけでは不十分だと感じています。