刑事事件を扱うドラマ

ドラマや映画には、いわゆる法廷ものと呼ばれる刑事事件を扱う映画があります。

テレビ以外のコンテンツも充実しているため、今では、最近の映画やドラマだけではなく、往年の作品も気軽に視ることができます。

私は学生の頃から映画が大好きでしたが、映画やドラマで扱う法廷ものは、多くがミステリーものであることが多いため、あまり興味がないジャンルでした。

しかし、このコロナ過で家族と家で映画を観ることが多くなり、法廷ものも観るようになって、法廷ものというジャンルへの印象が変わりました。

海外の映画では、いわゆる犯人の動機や真犯人を解明するミステリーを扱う作品以外にも、社会的な議論のある事項について法廷で議論を闘わせる作品もあります。

また一見犯人の動機を解明していくミステリー作品のようでいて、実は、社会的議論のある事項について問題提起をすることを主眼とすると思われる作品もあります。

色々な作品を観ていく中で、いわゆる法廷ものと呼ばれる作品の面白さに気付いていくこの頃です。

弁護士という職務に関連していえば、特に海外の作品は、刑事事件手続を正確に反映した作品になっていることが多く、また、刑事事件手続の手続違反が物語のミソになっている作品もありますので、とても興味深いです。

刑事事件に関する法律や手続は、その国の考え方などバックグラウンドによって、様々な違いが生じ、そのような背景にふと気付くことも面白さの1つです。

私が好きな作家の小説にも、愛知県を舞台としたミステリー小説がありますので、これも映画化してくれるとよいなと思っています。

証拠保全

医療事故の事案では、医療機関で保管されている資料を収集する必要が出てくるケースが珍しくありません。

資料を収集する方法としては、まずは、医療機関に対して、任意の資料の開示を求める方法があります。医療機関が開示に応じるのであれば資料の収集が可能となります。

しかし、資料が改ざんされてしまう場合、あるいは、保管期限経過により廃棄される可能性がある場合には、任意の開示請求によって資料を収集できないことがあります。

このような場合に備えて、民事訴訟法234条は、訴え提起前・訴え提起後のいずれの場合でも、裁判所への証拠保全手続を設けています。

この証拠保全手続は、医療過誤事件での医療カルテの改ざん防止のために利用されることが多いですが、その他の事件でも利用されることがあります。

この証拠保全は、裁判所に捜索・差押権限があるわけではないため、あくまで医療機関等の保全対象物の所持者管理者による任意の協力が想定されている手続きです。

そのような背景もあり、裁判所の証拠保全手続は、条文に規定されていない実務の運用・慣行に従って行われている印象を受けます。

そのため、裁判所の証拠保全手続を利用する場合には、事前に、裁判所の運用・慣行を踏まえた対応方法を検討する必要があり、場合によっては弁護士から裁判所と運用についての交渉を行う必要がある場合もあるため、注意が必要です。

法令調査

弁護士の業務において、法令調査は必要不可欠です。

法令調査は、現在の法律の規定・解釈内容に関する調査が一般的です。

しかし、時には、現在は廃止された法律、あるいは、改正前の法律の規定を調査することがあります。

廃止された法律・改正前の法律に関する文献や資料は、絶版になっていたり、廃棄されてしまっているものもあります。

そのため、廃止された法律や改正前の法律の調査には時間がかかってしまいます。

廃止された法律や改正前の法律を調査する場合、私は、弁護士会館の図書館を利用します。

弁護士会館の図書館には、絶版となった書籍も処分されずに閉架書庫においてあることが多く、必要な情報にアクセスしやすいです。

また、弁護士会館の図書館は、多くの弁護士が参照する質の高い書籍が用意されており、また論文や裁判例集なども蔵書されているため、深堀した調査や横断的な調査などが可能です。

また、専門書籍を豊富に扱う大学の図書館を利用できる場合には、大学の図書館を利用することもあります。

アマゾンなどネットで書籍を買う時代で、大型書店の数も減ってきている今日ですが、弁護士の職務においてはネットで書籍を探したりするだけでは不十分に感じています。

代車料について

交通事故で車両が損傷して、その修理や買い替えのために車両を使用できなくなった場合、代車を借りることがあります。

今回は、その代車費用を加害者に請求できる期間について、ご説明いたします。

1 加害者に費用を請求できる代車利用期間は限られている   

代車代を支払ってもらえる期間は,「修理可能な場合には修理に必要な相当期間,買替が必要な場合には買替に必要な相当な期間」と考えられています。

すなわち,実際に修理や買替が終わるまでの間のレンタカー代を支払ってもらえるわけではありません。

2 車を修理する場合の代車利用期間

故障した車を修理する場合、修理の箇所や方法などにもよりますが、代車代が支払われる期間はおよそ1週間から2週間程度が目安と言われています。

3 買い替え・全損扱いの代車利用期間

故障した車を買い替える場合、代車代が支払われる期間は2週間から1か月が目安と考えられています。

4 代車の利用には注意が必要です

代車代が支払われる期間は限られており、「相当な期間」を過ぎてなお、代車を使用する場合には、自己負担になる可能性があります。

代車は、日常生活や仕事に直結する車の使用にかかわるものであり、代車費用が多額になることも少なくありません。

そのため、加害者が費用を負担する利用期間などについて、事前に加害者側と交渉をしておかないと、後から、多額の代車代を自己負担する危険性もあり、注意が必要です。

代車については詳しくは弁護士にご相談ください。 

年末年始の過ごし方

私にとって、ここ数年の年始年始は、普段の事件から離れて、自分の課題に取り組む貴重な機会になっています。

去年の年末年始は、心と体を休めて、事件処理に対する自分の課題について俯瞰して見直すことができました。

当時、私は、依頼者の方に事件処理の方針を説明する際、事件が解決するまでの全体的な道筋を丁寧に説明する傾向がありました。

そのような説明の仕方それ自体が間違っているわけではないのですが、事件の内容や依頼者様の事情によっては、全体的な道筋を説明するのではなく、直近で問題になっている事情のみを説明するという方法がより適切なケースもあるように感じていました。

そこで、去年の年末年始は、それまでの事件処理を振り返り、依頼者の方へ事件処理の方針を説明する方法を改めて見直す時間を設けました。

普段の業務は、一つ一つの事件処理に集中するため、事件処理の傾向など事件処理に対する自分の姿勢を見直すことはあまりできませんので、とても有意義な時間になりました。

今年の年末年始は、自分の弱点になっている法律分野の知識を抑えることと、法律分野以外で興味のある本を読む時間にしたいと思っています。

普段の業務時に、法律分野のみに取り組んでいる時間が長くなると、視野が狭くなり、多角的な見方が衰えているように感じるようになっていたため、可能であれば、年末年始以降も、法律分野以外の何かしらに接する時間を設けたいです。

事件処理方針について

事件処理について方針を立てることは必要不可欠です。

事件処理の方針は、弁護士から依頼者に対して方針を提案し、依頼者の了解を得ることで決定します。

依頼者に対して事件処理の方針を提案する場合には、複数の方針案を提案し、依頼者の方に選んでもらうという方法を取ってもらうことが多いです。

事件処理の方針において何を重視するかは、依頼者によっても様々ですので、その依頼者の意向を踏まえて方針案を提案しています。

事故現場の確認

交通事故の事故状況が争いになるときは、できるだけ、事故現場に行って現地を確認するようにしています。

もちろん、事故現場をドライブレコーダーや写真で見ることも有用ですが、現地に行って初めて気付くことも珍しくありません。

例えば、現地に行って初めて駐車場のスペースが狭いことに気付き、それがきっかけで相手方の主張の矛盾点を見つけたこともあります。

現地に行くことは、時間がかかるという負担もありますが、大事にしていきたいと思っています。

アナログ

デジタル化が進む昨今、電子書籍を利用する方が増えています。

私についていえば、まだ電子書籍を利用したことがないものの、気になっています。

一度、電子書籍を利用しようと思う今日この頃です。

内容証明郵便

法律相談においてしばしば質問を受けるものとして、内容証明郵便があります。


法律家以外の一般の方でも内容証明郵便を利用する例も散見されます。


しかし、なかには、内容証明郵便の機能を正確に理解していないと思われる利用方法もあります。


そこで、今回は内容証明郵便について簡単にご説明いたします。


内容証明郵便とは、1頁に「20字以内×26行以内」で書簡を3部作成し、1部を相手方に送付し、1部を郵便局に保管し、1部を差出人が保管する郵便です。


なお、現在では、電子メールによる作成・送付も可能となっています。


内容証明郵便は、郵便局において当該郵便物の内容である文書の内容を証明する(郵便法48条1項)というものであるため、この名称が付されています。


内容証明郵便を送付する場合には、郵便局において相手方に当該郵便物が配達されたことを証明する配達証明によるのが通常です。


これは、配達証明付き内容証明郵便で文書を送付しておけば、当該文書の内容とそれが相手方に配達された日時とを証明することができます。


そのため、特に、一定の内容の意思表示(相殺・契約解除等)をし、それが相手方に到達したことの証明を残しておきたい場合には、当該意思表示を文書によってし、配達証明付き内容証明郵便で送付しておけば、その証明がおおむね可能となります。


内容証明郵便については、金銭支払の催促など、「特別な郵便」というイメージを踏まえて、相手方に心理的圧迫を加えるという利用方法を用いられることもあります。


ただし、これはあくまでも事実上の効果を意図したもので、またその有効性についてはケースバイケースで、奏功しないケースもあるところです。


私が弁護士になって間もないころにおこなった業務が内容証明郵便の作成でした。


内容証明郵便を発送するため、郵便を大切に鞄にしまい、名古屋駅近くの郵便局まで恐る恐る持って行ったことを今でも思い出すことがあります。

複数の賠償義務者に対する債務の免除の効力

 今日は少し難しい話になるかもしれません。
 

 複数の賠償義務者のうち1人と示談する場合に発生しうる論点についてご説明します。

 

 名古屋・岡崎・豊田など愛知県全域・岐阜・三重県内では、仕事中の運転者による交通事故が少なくないため、このような場合にも理屈上問題となります。

1 複数の賠償義務者の関係

1つの交通事故において、1人の被害者に対して、賠償義務を負う賠償義務者が複数存在する場合があります。


例えば、所有者でない者が運転していた車両によって交通事故が発生した場合、車両の運転者と所有者が被害者に対する賠償義務を負います。

このような事案において、被害者が、複数の賠償義務者のうち1人との間で権利放棄を含む示談をした後、他の賠償義務者に対して追加の損害賠償請求をすることができるのでしょうか。


これは、共同不法行為者の1人に対する債務の一部免除が他の共同不法行為者に対していかなる効力を及ぼすかという問題ととらえることができます。


2 不真正連帯債務について


複数の賠償義務者が存在する場合、賠償義務者は、被害者に対して「不真正連帯債務」を負うと解されています。

「不真正連帯債務」とは、連帯債務と同じく、数人の債務者が同一内容の給付につき各自独立して全部の給付をなすべき債務を負担し、しかもそのうちの1人(又は数人)が一個の全部の給付をすれば総債務者の債務が消滅する多数当事者の債務であって、民法の連帯債務に属しないものであり、不真正連帯債務については、債権を満足させる事由(弁済・代物弁済・相殺・供託)は絶対的効力を生じるが、それ以外の事由は相対的効力を生じるにとどまるというのが、従来の通説判例です。

3 複数の賠償義務者のうち1人に対する権利放棄(債務免除)の効力


共同不法行為者の1人に対する債務の一部免除が他の共同不法行為者に対して効力を及ぼすかについては、①絶対的効力説(連帯債務者の1人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる旨の旧民法437条が適用され、免除をした相手方の負担部分については、他の債務者に対しても請求できないとする見解)、②相対的効力説(免除の効力は他の債務者に一切及ばないとする見解)、③折衷説があります。


4 裁判例の傾向


最高裁判所の裁判例には、不真正連帯債務には連帯債務の絶対的効力に関する旧民法437条は適用されないとして、絶対的効力説を否定する裁判例もあります(最判昭和48年2月16日民集27巻1号99頁、最判平成6年11月24日裁判集民173号431頁)。


ただし、これらの裁判例は、被害者が他の共同不法者の債務をも免除する意思があったと認められる場合にまで、免除に絶対的効力を認める可能性をも否定する趣旨ではないようにも思われます。


実際、その後の最高裁の裁判例には、共同不法行為者の1人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務免除の効力について、他の共同不法行為者の残債務をも免除する意思を有していると認められるときには、他の共同不法行為者に対しても、残債務の免除の効力が及ぶことが認めています。


5 まとめ


このように、被害者が、複数の賠償義務者のうち1人との間で権利放棄を含む示談をした後、他の賠償義務者に対して追加の損害賠償請求をすることができるのかについては、被害者の意思によることとなります。


したがって、被害者が複数の賠償義務者のうち1人との間で権利放棄を含む示談をする場合には、他の賠償義務者への請求に関する疑義を解消するため、他の賠償義務者に対する請求をする意思があるかどうか、あるいは、他の賠償義務者に対する請求をも放棄する意思であるか、いずれの意思を有するかを明示する必要があります。

法律の改正・運用の変更

近年、時代の変化が早くなっているように感じます。

時代の変化に対応するように、法律の改正も増えています。



例えば、民法などいわゆる基本法の改正も頻繁に行われるようになっています。

特に、民法については、明治時代に制定されて以来、大きな改正はされていませんでしたが、近年、広範囲の分野で頻繁に改正がされています。

これも、時代の変化に対応できるように改正する必要性があるためです。

また、改正前の現行法でも対応できる範囲で、法律実務も新しい試みが始まっています。

例えば、裁判についていえば、裁判所に出頭して期日を行うのが原則だったところが、現在ではオンラインによる期日が原則かのような運用をしている裁判官もいます。

裁判の審理のあり方それ自体についても、これまで以上にスピーディーな審理を実現しようとする試みが始まっています。

例えば、当事者の主張立証が争点のポイントに絞って進んでいくために、裁判所が作成した訴状や準備書面の書式を利用して審理を行うという試みが一部で開始されています。


これは、弁護士によっては饒舌なきらいのあった準備書面を制限し、裁判所が求めるコンパクトな訴状ないし準備書面の提出がされるようにする試みです。

このような審理のあり方は、争点のポイントに絞って審理をするという点で、これまで以上にスピーディーな審理が可能となります。

民事訴訟制度は、長年、裁判の審理の長期化という課題を解決するために審理の迅速化に取り組んできていますが、
今回の運用もその流れに沿ったものです。

愛知県・岐阜県・三重県内の裁判所も徐々に運用が変わりつつあるように感じています。

特に、名古屋地方裁判所本庁の運用はどんどん変わりつつあるように感じていますので、目が離せません。

事案の本質を把握する

近年、弁護士の業務は広がりを見せており、業務内容も多岐にわたります。

 

業務内容が違うと対応方法や分析の視点が180度変わることも珍しくありません。

 

しかし、他方で、どのような業務であろうと、常に必ず求められることも存在します。

 

それは、結論を左右するポイント、言い換えれば、当該事案の本質を把握するということです。

 

例えば、顧問先から法的意見を求められた場合、その事案の本質を把握しないと、回答自体が誤ってしまう可能性があります。

 

また、仮に、結論自体が誤っていないとしても、事案の本質を踏まえた結論過程になっていない以上、顧問先にその結論の正当性を理解してもらうことができません。

 

事案の本質を把握することの重要性を理解していない法律実務家はいないと思います。

 

私も、学生時代から現在まで、恩師・先輩方から、何度も事案の本質を把握する力を養うことの重要性を学んできました。

 

しかし、この「事案の本質」は、事案によって大きく変わってきますので、簡単に把握できるものではありません。

 

例えば、「事案の本質」が法律解釈の問題である事案もあれば、「事案の本質」が関係者の性格である事案もあります。

 

この事案の本質を把握する力として求められるのは、法的知識や経験はもちろんですが、最近は回答を求められる弁護士の「ものの見方」も求められているのではないかと考えるようになっています。

 

そして、この「ものの見方」というのは、人間に対する理解、様々な人生観に対する理解や共感だと考えています。

 

結局のところ、法的トラブルは人と人との間で生じるトラブル(企業間トラブルも突き詰めると人と人とのトラブルに含めることが可能だと思います)ですので、人間に対する理解、様々な人生観に対する理解や共感が備わっていないと、事案の本質を把握することはできないように思うからです。

 

弁護士として求められる素養は奥が深く、法律分野の研鑽だけでは不十分だと感じています。

人事異動の時期

4月に入りました。

 

企業や公官庁では4月に人事異動が行われることも少なくありません。

 

私が担当する事案でも、保険会社の担当者が人事異動で担当変更のご挨拶をいただくことが増えています。

 

また、裁判になっている事案では、審理を担当している裁判官が人事異動によって交替する事案が複数あります。

 

愛知県内で係属している裁判に限って言えば、名古屋地方裁判所本庁・名古屋地方裁判所岡崎支部で審理中の裁判は、裁判官の交替がありました。

 

裁判官の交替は、弁護士としても関心を持つ出来事になります。

 

裁判を審理する裁判官は自らの心証(当事者の主張についての考え)を後任の裁判官に強制することはできません。

 

また、ほとんどの場合、裁判官の心証を後任の裁判官に引継ぐこともないようです。

 

そのため、前任の裁判官がこちらの主張を認める心証を抱いていても、後任の裁判官が全く別の心証を抱くことがあります。

 

すなわち、裁判官の交替によって、裁判の判断や審理の仕方に大きな変更が生じる可能性があるのです。

 

これは、事案について個々の裁判官が自らの良心に基づいて自由に心証をとることができるという憲法上の定めに基づくものです。

 

もっとも、実際には、前任の裁判官が交替する前に自らの心証を積極的に開示するという事案は必ずしも多くありません。

 

そのため、裁判官の交替によって、こちらに有利ないし不利になるかというのは、ほとんどの事案では当事者にはわかりません。

 

この時期になると、裁判官が交替するか、また、交替する場合の後任の裁判官の様子について気になる弁護士は少なくないと思います。

 

 

交通事故の損害賠償請求の仮払仮処分

交通事故の事件を多く扱っていると、一般の弁護士が行わない手続きを扱うことがあります。

 

例えば、交通事故の損害賠償請求の仮払仮処分手続などがその代表例です。

 

仮払仮処分とは、民事保全手続の1つで、交通事故の被害者が、稼働能力を喪失して生活に困窮したり、多額の療養費を要する場合に、加害者や自賠責法3条の運行供用者に対して金員を被害者に支払うように求める処分で、裁判所に申立てをする仮処分手続きです。

 

仮払仮処分は、被害者が申し立てた事情及び加害者側の審尋を踏まえて、裁判所が命令の可否を判断します。

 

交通事故の損害賠償請求の仮払仮処分手続の特徴は、主に以下のとおりです。

 

1点目は、被害者に求められている損害賠償請求権の疎明の程度が高度であるという点です。

 

仮払仮処分は、民事保全手続で求められることが多い、いわゆる担保金の積み立てが求められないことが通例です。

 

そのため、その均衡から、被保全債権である損害賠償請求権の疎明の程度が高く要求されています。

 

2点目は、損害賠償請求権を有するのみでは足らず、仮払仮処分が行われないと生活に困窮を来すといえる状況を疎明する必要がある点です。

 

すなわち、生活の困窮の程度が著しく、自賠責保険への被害者請求(16条請求)等の保険金の受給のみでは当座の生活や療養費用がまかなえないといった事情を疎明することが求められます。

 

このいわゆる保全の必要性については、被害者の配偶者や親族の資産が十分である場合には被害者に不利な事情として斟酌されうる見解が示されているなど、厳格に判断されています。

 

以上の特徴から、交通事故の損害賠償金の仮払仮処分手続は、あまり利用されることのない手続きともいえます。

 

私自身、仮払仮処分手続が認められるケースはかなり限られたケースであるように感じており、利用した件数もわずかです。

 

 

頭の切り替え

 

弁護士として仕事をする上で、大事なことは、法律分野以外のことにも興味を持つことではないかと思います。

 

もちろん、弁護士として法律分野に精通している必要があることは言うまでもありません。

 

弁護士として仕事をするためには、毎日、たくさんの案件を対応し、経験を積む必要があります。

 

また、特に自分が扱う分野については、休日も調査研究をすることも珍しくありません。

 

しかし、弁護士の仕事は法律以外の分野にも関係してきますので、法律分野のみ詳しくなっても物足りないと感じています。

 

そのため、法律分野以外の分野にも興味をもつことは重要だと思います。

 

また、法律分野以外のことに熱中した後は、法律実務に取り組むときにも、頭の切り替えができて、良い効果を感じます。

 

私自身、野球をしたり、ラグビーを観戦したりすることが好きですが、これらのことに熱中した後は、法律実務の仕事も捗る気がします。

 

また、法律分野以外の科学分野、歴史分野の本を読んだり話を聞くと、法律分野にはない発想に気付くことができ、とても面白いです。

 

最近は、コロナウイルスのこともあり、外出したりすることもできない状態ですので、休日の活動も制限されています。

 

私がいる名古屋地域も緊急事態宣言が続いています。

 

早くこの状況が改善するとよいと思います。

文献調査

 

私は、愛知県(名古屋・岡崎・豊橋など)・岐阜県・三重県・北陸地方・関西地方の交通事故や労災事故を多く扱っています。

 

交通事故や労災事故は、法律実務において、数多くの論点があります。

 

論点の全てが有名な論点とは限らないので、細かな文献調査や判例調査が必要になることも珍しくありません。

 

調査をする場合、始めに論点を扱った裁判例を調査して、裁判例の傾向を把握します。

 

特に、裁判例はその事案に対する判断ですので、裁判例の事案の概要は丁寧に確認します。

 

その後、裁判例の背景にある考え方を確認するために、判例を評釈する文献を調べます。

 

裁判例は、論点について判断を示すにあたって、それ以前の過去の裁判例や当時の学説を踏まえて判断している場合が多いです。

 

そのため、裁判例の調査で終わらず、裁判例の背景を探る文献調査まで行わないと、その裁判例の妥当性を確認できません。

 

文献にも、裁判官の論文を扱ったものから一弁護士が著した文献など様々ですから、実務における参照具合も考慮して調査します。

 

また、文献調査にあたっては、できる限り最新の学説を網羅した専門書を確認するようにしています。

 

古い文献を確認する場合、最新の学説や判例を網羅しておらず、現在の傾向や考え方がわからないからです。

 

ただ、興味深いのは、法理など議論の大元(おおもと)を調べる場合には、最新の文献だけでは不十分で、古い文献にあたってこそわかることも少なくないという点です。

 

これは私の推論ですが、最新の文献は最新の傾向を扱うことに重点があるため、紙面の都合上、議論の大元に丁寧に言及することができないからではないかと思います。

 

言い換えれば、昔の文献は、当時の議論が煮詰まっておらず、議論の大元を素直に抉り出しているためではないかと思うのです。

 

調査においては、最新の文献だけではなく、昔の文献をも調査するなど複眼的な調査が必要だと思うこの頃です。

事件処理の方針策定の重要性

弁護士になりたての頃、多くの弁護士から様々なことを教えていただきました。

 

そのうちの1つに、受任時に事件処理の方針を策定することの重要性があります。

 

一口に「事件処理の方針」といっても、検討するべき事項は事案によって様々です。

 

適切な事件処理の方針の策定のためには、その事件のポイントになることを把握しなければなりません。

 

また、一旦事件処理の方針を策定しても、状況が変更した場合には、その都度、事件処理の方針を再度検討しなければなりません。

 

私は、弁護士になりたての頃から、事件処理の方針の策定を行ってきたつもりですが、今思えば、検討が不十分だったケースもありました。

 

現在、依頼者様のご意向に沿った解決のためには、あらかじめ適切な事件処理の方針の策定ができているかどうかで決まるのではないかとさえ考えるほど、事件処理の方針の策定には時間を掛けています。

 

どんな事件でも、受任時と示談交渉の前など、最低でも2回は時間を掛けて事件処理の方針を再検討しています。

 

また、事件処理の方針の再検討が必要となる場合には、その再検討の時期を逃さないことが重要です。

 

事件を多く抱えて忙しい時などには、事件処理の方針の再検討が必要になっている状況を見過ごしてしまう危険性もありますので、注意が必要です。

 

そのため、私は、1週間に1回はすべての案件の進捗状況を確認し、事件処理の方針の再検討の必要性がないか確認しています。

 

複数の後遺障害がある場合

 

今日は、複数の後遺障害がある場合の運用についてご説明します。

 

後遺障害の「併合」とは,複数の後遺障害が認められた場合の等級の取り扱いになります。

 

自賠法施行令第2条第1項第3号には,自賠法施行令別表第二に定める後遺障害が2つ以上ある場合の取り扱いについて,以下のとおり規定しています。

 

⑴ 別表第二第5級以上の等級に該当する後遺障害が二つ以上ある場合には,重い方の等級を3級繰り上げる。

 

⑵ 別表第二第8級以上の等級に該当する後遺障害が2つ以上ある場合には,重い方の等級を2級繰り上げる。

 

⑶ 別表第二第13級以上の等級に該当する後遺障害が2つ以上ある場合には,重い方の等級を1級繰り上げる

 

⑷ ⑴~⑶以外の場合には,一番重い後遺障害の該当する等級を,2つ以上ある後遺障害の等級とする。

 

併合基準に照らすと,後遺障害の等級が第4級と第5級が認められた場合には,第4級を3級繰り上げて,併合により第1級となります。

 

後遺障害の等級が第7級と第8級が認められた場合には,第7級を2級繰り上げて,併合により第5級となります。

 

後遺障害の等級が第10級と第12級が認められた場合には,第10級を1級繰り上げて,第9級となります。

 

後遺障害の等級が第8級と第13級が認められた場合には,第8級を1級繰り上げて,第7級となります。

 

以上と異なり,第11級と第14級が認められた場合には,第11級のままであり,等級の繰り上げはありません。

 

すなわち,第14級の認定は,他の等級に影響しないので注意が必要です。

 

後遺障害の等級が認定された場合,認定された後遺障害等級に基づいて後遺障害に関する損害を算出することになります。

 

この認定された等級の内容は,後遺障害の逸失利益や慰謝料などに大きく影響していきます。

 

同じ等級でも,認定された後遺障害の内容によって,賠償額が増減される可能性も少なくありません。

 

私は、名古屋を含む愛知県・岐阜県・三重県などの交通事故を扱うことが多いのですが、複数の後遺障害がある被害者の方も少なくありませんので、常にこのようなルールを意識して対応しています。

交通事故で必要となる診断書あれこれ

私が住む名古屋市も寒さが増してきました。

 

寒さが出てくると、風邪に気を付ける必要があります。

 

風邪といえば、お医者様です。

 

交通事故の被害では、お医者に診断書を依頼するなど、お医者様にお願いすることも数多くあります。

 

そこで、今回は、思いつくまま、医師に依頼することが多い診断書をあげていきます。

 

1 交通事故で怪我をした場合には医師の協力が不可欠

 

交通事故で怪我をしたために治療費や慰謝料等の損害が発生した場合,事故の相手方に対して損害賠償請求をすることになります。

 

損害賠償請求をする場合,怪我をした事実や怪我によって損害が発生した事実を示す証拠が必要になります。

 

怪我の症状や治療内容については医学的な事項になりますので,証拠となる書面については,医師に協力してもらうことになります。

 

2 警察に人身事故届けを出すための診断書

 

交通事故で怪我をした場合,警察に対して事故によって怪我をしたことを届けることになります。これをいわゆる人身事故の届出といいます。

 

人身事故の届出をする場合には,病院の医師が作成した診断書を提出する必要がありますので,治療を受けられた病院の医師に診断書を作成してもらう必要があります。

 

3 後遺障害診断書

 

治療を受けても怪我の症状がよくならない状態に至った場合あるいは治療の効果が一時的で症状が一進一退になっている場合には,後遺障害の申請手続きをすることになります。

 

後遺障害の認定は,主に,自動車事故の場合には自賠責保険の審査機関や裁判官が行いますので,病院の主治医ではありません。

 

もっとも,その認定にあたっては,病院の主治医が作成した後遺障害診断書などの医療記録が重要な判断材料になってきます。

 

そのため,後遺障害の手続きをする場合には。主治医に対して後遺障害診断書の作成依頼をすることになります。

 

4 症状に関する意見書

 

相手方との交渉や裁判などの法的手続きにおいて,症状固定時期や後遺障害の内容や程度が争点になってくる場合も珍しくありません。

 

その場合には,怪我の内容や症状,治療状況について,主治医や専門の医師から医学的な意見を述べてもらう意見書を作成していただき,証拠書類として提出することがあります。

 

このように、診断書といっても様々であり、必要となる診断書の種類も豊富です。

 

今回ご説明したもの以外にも診断書の種類はあります。

 

 

自賠責保険の調査

加害者が被害者の人身損害を賠償するための自動車損害保険は,自賠責保険(強制保険)と任意保険の2段階の立て付けになっています。

 

交通事故の被害にあったときに,加害者が自動車損害保険に加入しているかどうかが不明なときがあります。

 

加害者の任意保険会社の加入については,加害者に直接確認する方法が現実的です。

 

他方で,加害者が自賠責保険に加入しているかどうかについては,加害者に直接確認する方法以外にも確認する方法があります。

 

具体的には,交通事故証明書を取り寄せて,自賠責保険の加入歴を確認する方法です。

 

交通事故証明書は,自動車安全運転センターの都道府県方面事務所長が、警察から提供された証明資料に基づき、交通事故の事実を確認したことを証明するために作成する書面です。

 

交通事故証明書には,事故車両の自賠責保険の加入の有無が記載されています。

 

そのため,交通事故証明書の記載を手掛かりに,自賠責保険の加入の有無を確認することが可能です。

 

近年,自動車運転者の中には,任意保険のみならず自賠責保険未加入のまま,車を運転している方も増えてきているようです。

 

そのため,今後,被害者が,加害者の自賠責保険の加入の有無を確認する必要に迫られることも増えてくるかもしれません。

 

加害者が任意保険未加入あるいは自賠責保険すら未加入の場合に,被害者の損害をどのように補てんするかというのは,弁護士に相談するべき事項といえます。特に重傷を負っている場合には,どこから,どのように補償をうけるかというのは重要です。

 

愛知県は交通事故発生件数が多いですので,特に,ホットな話題だと思います。