証拠保全

医療事故の事案では、医療機関で保管されている資料を収集する必要が出てくるケースが珍しくありません。

資料を収集する方法としては、まずは、医療機関に対して、任意の資料の開示を求める方法があります。医療機関が開示に応じるのであれば資料の収集が可能となります。

しかし、資料が改ざんされてしまう場合、あるいは、保管期限経過により廃棄される可能性がある場合には、任意の開示請求によって資料を収集できないことがあります。

このような場合に備えて、民事訴訟法234条は、訴え提起前・訴え提起後のいずれの場合でも、裁判所への証拠保全手続を設けています。

この証拠保全手続は、医療過誤事件での医療カルテの改ざん防止のために利用されることが多いですが、その他の事件でも利用されることがあります。

この証拠保全は、裁判所に捜索・差押権限があるわけではないため、あくまで医療機関等の保全対象物の所持者管理者による任意の協力が想定されている手続きです。

そのような背景もあり、裁判所の証拠保全手続は、条文に規定されていない実務の運用・慣行に従って行われている印象を受けます。

そのため、裁判所の証拠保全手続を利用する場合には、事前に、裁判所の運用・慣行を踏まえた対応方法を検討する必要があり、場合によっては弁護士から裁判所と運用についての交渉を行う必要がある場合もあるため、注意が必要です。