疑問の解決

弁護士の仕事をしていると、ある時、ふっと長年感じていた疑問が解消されることがあります。

例えば、交通事故の民事訴訟の審理を検討するなかで、ふっと学生時代に勉強した刑事訴訟法に関する判例の背景や思想理念を深い意味で理解できるようになることがあります。

もちろん、学生時代の勉強でも、判例の事案、争点、争点に関する結論やその理由など、判例を使いこなせる程度の理解は可能です。

しかし、その判例の適用範囲を深く正確に理解するためには判決文に明示されていない判例の背景や思想理念を理解する必要があり、学生時代の勉強のみでは深く理解するところまでに至らないことも少なくありません。

その判例の背景や思想理念を理解するためには、学生自体に勉強する法理論からの分析検討のみでは不十分で、現場の実務感覚も求められているためということが理由の1つだと思います。

もう1つの理由には、その判例を作った裁判官が抱いたであろう悩みや思考過程を、実務家である自分自身もその分野や別の分野を通じて経験するになるからということも大きいのではないかと思います。

刑事事件でも民事事件でもひいては行政事件でも、法律実務家として事件に取り組んでいると、必ず疑問を持つことがあります。

それは、いま扱っている事件の内容と既存の判例の事案が違うためにその判例にしたがった解決に納得ができないと感じることや、既存の判例にしたがって導き出される法的な結論それ自体には納得できるけれども、いま扱っている当事者にとっては酷な結論ではないかといった悩みです。

判例を初めとする法律実務は、学者ではなく、裁判官、検察官や弁護士といった実務家によってリードされている面は少なくありませんので、法律実務をより良いものにしていくためにも、こういった悩みは大事にしていきたいと思っています。