名古屋駅から徒歩0.5分の距離に事務所がある弁護士の山田です。
今日は,休業損害について,ご説明したいと思います。
1 休業損害とは
休業損害は,交通事故が原因で仕事ができなくなったことにより,得られなかった収入相当額を補償するものです。
休業損害の計算方法については,大きく2通りの計算方法があります。
2 休業損害の計算方法①
1つ目の方法は,事故前の収入と事故後の収入の差額分のうち,交通事故の怪我による休業と因果関係のある減少分を,休業損害として請求するものです。
減少分を直接把握して請求する方法であり,いわば直接的な計算方法になります。
この方法は,事故前の収入及び事故後の収入の資料があれば,収入の減少分を明らかにすることが容易であり,シンプルな計算方法になるという点がメリットです。
他方で,立証が不十分になる可能性があるという点がデメリットになります。
すなわち,休業損害は,事故前と事故後の収入の差額分のうち,交通事故の怪我による休業と因果関係のある減少分について請求できるものです。
そのため,自営業などのように,毎年,あるいは,毎月の収入に変動がある場合,交通事故の有無にかかわらず,収入の減少が生じることも当然に想定できます。
従って,事故前と事故後の収入の差額のうち,交通事故の怪我による休業と因果関係のある減少分をどのように把握するかという立証上の問題が生じることがこの方法の弱点です。
3 休業損害の計算方法②
2つ目の方法は,事故前の収入から1日当たりの日給を算出し(基礎収入といいます),日給×休業日数に相当する額を休業損害として請求するものです。
この方法は,勤務先や元請会社が休業損害証明書を作成してくれる場合,また,事故前年分の確定申告書がある場合に,日給を容易に算出できる点がメリットです。
休業損害証明書には交通事故による怪我のための欠勤日や遅刻早退日数も記載されるため,勤務先や元請会社が休業損害証明書を作成してくれる場合には,休業損害証明書に従った休業損害を請求することができるという点もメリットになります。
他方で,特に自営業など定まった勤務日がない場合には,休業日数をどのように計算するかが争われる可能性もあります。
この場合,休業日数は一般的に仕事を休んだ日をもとに計算されますが,治療期間や通院日数をもとに計算されることもあります。
4 休業損害で注意するべき点
休業損害を請求するためには,休業の必要性が認められることが必要です。
休業の必要性は,仕事内容や怪我の具合,医師の診断などから,交通事故の怪我により仕事を休むことが必要であることをいい,休業損害証明書がある場合でも,休業の必要性が争われる場合もあります。
例えば,欠勤をしている場合でも,「怪我や通院状況からすれば,欠勤までする必要はなく,せいぜい通院のために遅刻や早退をする程度である」,あるいは,「そもそも遅刻早退すら不要である」という判断がされる場合もあり,休業損害が支払われない場合もあります。
このように休業損害は,相手方と争われることも多く,被害者の方がご自身で交渉しても,適切な賠償がされないことも珍しくありません。
交通事故で休業損害が発生した場合には,一度,弁護士に相談してみてもよいかもしれません。