4月に入りました。
企業や公官庁では4月に人事異動が行われることも少なくありません。
私が担当する事案でも、保険会社の担当者が人事異動で担当変更のご挨拶をいただくことが増えています。
また、裁判になっている事案では、審理を担当している裁判官が人事異動によって交替する事案が複数あります。
愛知県内で係属している裁判に限って言えば、名古屋地方裁判所本庁・名古屋地方裁判所岡崎支部で審理中の裁判は、裁判官の交替がありました。
裁判官の交替は、弁護士としても関心を持つ出来事になります。
裁判を審理する裁判官は自らの心証(当事者の主張についての考え)を後任の裁判官に強制することはできません。
また、ほとんどの場合、裁判官の心証を後任の裁判官に引継ぐこともないようです。
そのため、前任の裁判官がこちらの主張を認める心証を抱いていても、後任の裁判官が全く別の心証を抱くことがあります。
すなわち、裁判官の交替によって、裁判の判断や審理の仕方に大きな変更が生じる可能性があるのです。
これは、事案について個々の裁判官が自らの良心に基づいて自由に心証をとることができるという憲法上の定めに基づくものです。
もっとも、実際には、前任の裁判官が交替する前に自らの心証を積極的に開示するという事案は必ずしも多くありません。
そのため、裁判官の交替によって、こちらに有利ないし不利になるかというのは、ほとんどの事案では当事者にはわかりません。
この時期になると、裁判官が交替するか、また、交替する場合の後任の裁判官の様子について気になる弁護士は少なくないと思います。